ふきんとうだより

フォーク、藤井聡太、宮沢賢治、佐々木朗希、石川優子についてつらつら語ります

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宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』のあらすじと伝えたいこと

作者・宮沢賢治について

宮沢賢治は、日本の詩人・童話作家・農業指導者で、『銀河鉄道の夜』や『注文の多い料理店』などの作品で知られています。代表作については過去の記事をご覧ください。

 

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グスコーブドリの伝記』とは

1932年(昭和7年)4月に刊行された雑誌『児童文学』第2号にて発表されました。賢治の代表的な童話の一つであり、生前発表された数少ない童話の一つでもあります。イーハトーブという架空の国で起こる物語。主人公は「ブドリ」という名前なので、グスコーは苗字と考えられます。
 

あらすじ

主人公のグスコーブドリは、森で木こりをしていた父親と母親、妹のネリと幸せに暮らしていましたが、冷害によって作物が育たず、飢饉になります。父親は森の中に失踪し、母親も後を追うように森の中に消えてしまいます。ネリは人さらいにさらわれてしまいます。グスコーブドリは一人で生きるために、てぐす工場や農家で働きながら本を読んで勉強します。やがて町に出て、クーボー大博士という有名な科学者に出会い、火山局という組織で働くことになります。火山局では、火山の活動を調べたり、肥料を散布したりしてイーハトーブの人々の暮らしを助けます。グスコーブドリは妹とも再会し、幸せな日々を送りますが、再び冷害がやってきます。そこで、グスコーブドリはどうするでしょうか? 自分のこれまでの研究の成果を発揮しますが、その方法は人々の理解を超えていました。結末はあえて書きません。ぜひ、読んでみて下さい。
 

イーハトーブとは

イーハトーブとは、宮沢賢治が作り出した架空の国の名前です。本作でも主人公の「グスコーブドリはイーハトーブの大きな森の中で生まれ」たという設定になっています。賢治は自分の故郷である岩手県をモチーフにして、心の中にある理想郷をイメージしました。イーハトーブという言葉は、岩手という地名をもじって作られたとされています。賢治の多くの作品にイーハトーブが登場し、賢治の世界観や思想を表現しています。イーハトーブは、科学と自然と人間の関係や調和を探求した賢治の生き様やメッセージを知る上で重要なキーワードです。

イーハトーブの大きな森
 

賢治が伝えたいこと

宮沢賢治は自然や科学に関心が深く、そのテーマを多くの作品に取り入れました。グスコーブドリの伝記もその一つで、科学と自然と人間の関係や調和を探求した作品と言えます。本作で賢治が伝えたかったことは何だったのでしょうか。グスコーブドリが最後に見せる決意が、最も重要なテーマであることは言うまでもありませんが、そこに至る変遷は、世の中の無常・無慈悲、そして自然の厳しさを示しています。グスコーブドリの生き方は賢治の理想であり、賢治そのものを表しているのでしょう。賢治は自分自身も農業や教育に尽力しましたが、腸チフスや肺炎などに苦しみ、37歳で亡くなりました。賢治はグスコーブドリのように、自分の信念を貫き、人々のために尽くしたのです。
 
グスコーブドリの伝記』は、賢治の生き様や思想を知る上で欠かせない作品です。賢治のメッセージに耳を傾けてみてはいかがでしょうか。