ふきんとうだより

フォーク、藤井聡太、宮沢賢治、佐々木朗希、石川優子についてつらつら語ります

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宮沢賢治の作った「星めぐりの歌」 田中裕子も歌った忘れられない名曲

 
宮沢賢治の生涯と「星めぐりの歌」の背景
宮沢賢治岩手県花巻市で生まれました。病弱ながらも文学に目覚め、短い生涯の中で数々の優れた詩、童話を残しました。
星めぐりの歌」は、童話「双子の星」に挿入された歌詞です。宮沢の生前には発表されておらず、死後になって初めて世に出た作品です。「銀河鉄道の夜」の中でもふれられており、賢治の初期の作品と思われます。
星めぐりの歌」は、星座の特徴を短く切り取った幻想的な詩となっています。ただ、星座が羅列されているようにも見えますが、星座を見ながら宇宙を巡る旅に連れて行ってくれるのです。
宮沢の死後、「星めぐりの歌」は童話とともに発表され、代表作の一つとして高く評価されるようになりました。田中裕子と高倉健が出演した映画『あなたへ』では、印象的なシーンの楽曲として田中裕子が歌唱しています。
 
 
 
星めぐりの歌」の歌詞の意味と魅力
 
あかいめだまの さそり        さそり座の中心アンタレス
ひろげた鷲の  つばさ        わし座        
あをいめだまの 小いぬ        おおいぬ座シリウス
ひかりのへびの とぐろ        りゅう座
オリオンは高く うたひ        オリオン座
つゆとしもとを おとす        露と霜とを落とす
アンドロメダの くもは                          アンドロメダ星雲
さかなのくちの かたち        魚の口の形    
大ぐまのあしを きたに                           大ぐま座の足を北に
五つのばした  ところ        五つ伸ばしたところ
小熊のひたいの うへは        こぐま座の額の上は
そらのめぐりの めあて        天空の日周の中心北極星

 

このように歌詞は短いですが、星座の見た目を純粋に描写しながら、天空を旅していく感覚になります。天文学的には、正確ではない部分もあるようですが、最後に天空の日周運動の中心である北極星にたどり着きます。「銀河鉄道の夜」を歌にしたかのようです。
 
星めぐりの歌」が注目されるようになったいきさつ
 
賢治は「星めぐりの歌」を家族の前や学校でよく口ずさんでいたようです。彼の死後、弟の宮沢静六の記憶をもとに、賢治の友人の藤原嘉藤治が採譜しました。問題は、その後この歌が知られるようになったいきさつです。いろいろ調べてみましたが、これといった資料が見つかりませんでした。でも、2012年に映画「あなたへ」の中で、田中裕子が歌っていますし、2020年の東京オリンピックの閉会式では、大竹しのぶが歌っています。ボクとしては、田中裕子が歌いあげている場面がとても印象に残っています。
 
宮沢賢治の純粋な歌
宮沢賢治の「星めぐりの歌」は、短い生涯の中で賢治が作り、口ずさんでいた素敵な歌です。星座を探しながらて天空を旅する感覚が魅力的で、田中裕子や大竹しのぶらによって歌われてきました。星空を見上げるとき、宮沢賢治の純粋さが思い浮かびます。読者の皆さんも、忙しい日常を離れて、時おり星空を眺め、心をいやしてみてはいかがでしょうか。