ふきんとうだより

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宮沢賢治の「どんぐりと山猫」あらすじと伝えたいこと

「どんぐりと山猫」宮沢賢治の童話です。
1924年に刊行された注文の多い料理店に収録されています。
このお話、なかなか興味深く、同時に教訓的です。

賢治の代表作10の中に入れたかったのですが、
残念ながら、選にもれてしまいました。

でも、ベスト10に入ってもおかしくない作品です。
ベスト10はこちら⤵

「どんぐりと山猫」のあらすじ

ある秋の土曜日、一郎少年のところに、おかしな葉書が届きます。
差出人は、山猫となっています。
めんどうな裁判があり、ぜひ出席してほしいという要請です。
翌日、一郎は山猫を探しに山へ入っていきます。
だれが一番えらいか言い争うどんぐりの裁判の行方は・・・

中心となっている考え

『このなかでいちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、いちばんえらいとね。』
という一文が、この童話のなかの肝となっていて、
賢治が最も伝えたい中心となる考えです。

伝えたいこと

この作品を含んでいる「注文の多い料理店」が刊行されたときの広告ちらしでは
次のように紹介されています。
 
1 どんぐりと山猫
 
山猫拝と書いたおかしな葉書が来たので、こどもが山の風の中へ出かけて行くはなし。必ず比較をされなければならないいまの学童たちの内奥からの反響です。
 
 

 
この短い解説は賢治によるものと推測されますが、
この話は「必ず比較をする当時の教育の在り方」に対する子供たちが持っている内奥の苦しみを表しているのです。

百年前の日本の教育も競争を煽るものだったのでしょう。教員であった賢治はそのような教育に疑問を抱いていたにちがいありません。
 
賢治は、人と比較しても仕方がない、愚かで、どうしようもないように見えても、
それぞれに良いところ、輝いている部分があると言いたかったのでしょう。