ふきんとうだより

フォーク、藤井聡太、宮沢賢治、佐々木朗希、石川優子についてつらつら語ります

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なぎら健壱さんが名曲遺産でフォークを語る ②

4/13、NHKラジオR1にフォークシンガーのなぎら健壱さんがゲスト出演されました。前回はフォークがアメリカのカレッジフォークからやって来たというお話でした。

 

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今回は、高石ともや岡林信康に関してなぎらさんが話したことです。
 

高石ともやの「受験生ブルース」

高石ともやさんのコンサートに行く前に知ってる曲があったんです。「受験生ブルース」という曲で、私はコミックシンガーだと思ってたんですよ。そのレコードを買うんですけれども、その大ヒットしたですね。高石ともやさんの曲を、ちょっと聴いてみたいと思います。受験生の悲哀を歌った歌です。当時、高石ともやさんはですね。大学の8年生でした。長い間ご苦労さんっていう人でした。
 

 
これはよく聴くとわかるんですが、ハーモニカやバンジョーが入っています。でも、これフォークで使うハーモニカやバンジョーじゃないですね。つまりフォークソングの形態がまだ分かってないんですよ。アレンジはただ、こういう楽器を使えばいいだろうっていうことでやってしまったという感じが致します。でも、これが受けました。その前に出た「帰ってきたヨッパライ」という歌を歌ったフォーク・クルセダーズというグループがおりまして、まあ、コミックスシーンに乗っちゃったっていう感じがしないでもない。実は、そのフォーク・クルセダーズ高石ともやさんは同じ事務所なんですね。マネージャーが一緒なんです。
 

岡林信康の登場

はい。それで、その高石さんに感化される人が出てまいります。岡林信康さんという方です。高石さんが、大阪の釜ヶ崎辺りでラーメン屋台を引きながら、歌っておって、それから肉体労働もしてました。建設現場で。その岡林さんもですね、東京の山谷あたりでそういう肉体労働をするわけです。ええ、まあ、安いところに住んでおりますよ。ドヤと言われましたね。別に汚い言葉じゃないです。宿をひっくり返しただけなんです。そういう安い宿に泊まってます。これを木賃宿っていうんですね。これは薪のことなんです。だから薪の値段で泊まれる安宿という意味です。そういうところで、高石さんも岡林さんも歌い始めます。
 

山谷ブルース

まあ、私もそういう建設現場で働いておりました。そういえば浅草に浅草公会堂というのがございまして、そこのこけら落とし。改装しまして綺麗になった時の第一回のこけら落としの時に私、呼ばれました。それでその時に、加藤登紀子さんがいた中で歌っておりましたら、ただだったので、その我々の山谷の労働者の方たちがたくさん見に来てたんですよ。で、私が歌ったら、会場から声が飛んできました。あんまり声が、大きいから、「なんですか」って訊いてみたら、「お願いだから、山谷に帰ってきてくれ」って言うんですよ。私、行ったことがないんですよ。そしたら、いろんなとこから「そうだそうだ。帰ってきてくれ。お願いだから」と言い出したんです。行ったこともないのに、と思いながら、なんでそんなこと言われたんですかねえ。たしかにそういう現場で働いてましたけど。それから山谷に、いろは会商店街というのがあって、車座になって昼間から飲んでる人たちがいるんですよ。うわあ、すごいなと思っておりましたら、そのうちの一人がさっと立ち上がりました。私のとこに来たんですよ。「なぎらさんサインしてください」と。でも、ふたりとも書くものを持ってなかったんですよ。それで仕方なく、「今度どっかで会ったら書きますよ」って言ったんです。「本当だね」って言って、その人ぱっと消えちゃったんですよ。で、3年後ですよ。私が通ったら、また車座で飲んでる人たちがいるんですよ。そしたらパッと立ち上がってね、その人がこっちに向かってくるんですよ。あれ、懐かしいなあと思って、俺も覚えてますよ。そしたらね。「やっと来てくれた。色紙とペン持って3年間待ってた」って言うんですよ。なかなかいい話でしょ。そこで私はサインしましたけどね。今どうしてるのかわかりませんけども。
 
岡林信康は「ほんじゃあまあおじゃまします」という曲でデビューするんですけど、これがね発売できません。あまりにも言葉がきつかったもので。そして第二弾です。これもちょっとシビアな内容ですけども、ヒットしました。岡林信康三と言えば、この歌だというような印象がつきました。「山谷ブルース」
 

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岡林信康は「フォークの神様」と呼ばれています。そこまで持ち上げるのはどうかと思うのですが、改めて聴いてみると、心にずっしりと響くメッセージを歌い上げています。「手紙」「私たちの望むものは」など、聴きごたえがあります。

 


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