ふきんとうだより

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佐藤天彦九段 振り飛車について語る

佐藤天彦九段12/8も振り飛車で勝利

最近、振り飛車をよく指している佐藤天彦九段。12/8のA級順位戦6回戦・広瀬章人九段戦でも後手で四間飛車を採用。逆転勝利でA級残留を目指します。その対局後のインタビューで天彦九段が振り飛車を採用している理由を語っていますので、その部分を文字起こししてみました。
 
インタビュー動画はこちら 

佐藤天彦九段がインタビューで語ったこと

Q: ファンの皆さんも、今期佐藤天彦九段が振り飛車を採用していることに注目しています。もちろん勝つための戦型選択だとは思うのですが、先生の場合、可能性の追究であったり、まだ見ぬ美しさへの思いだったり、継承に対する意思表示と言う所もあるのかなと思うのですが、どんなお気持ちで選んでおられるのでしょうか。
 
佐藤天彦: そうですね。今の相居飛車の世界は、AIを使った研究、それに対する深い認識、それをいかに積み重ねていけるか、それをどのくらい認識して対局に臨めるかが重要視されていると思うんですが、そのこと自体すごく大変なことですし、なかなか自分にはできないなと思う部分もあります。そして、必然的に形が似通ってくるんですね。まあ、自分もそういう将棋を指してきて、これからも指すかもしれません。その良さもわかっているつもりです。その中で、振り飛車という先後の形がかなりちがう将棋も魅力的に思えてくる。そういう将棋もものすごく研究されているとは思いますが、相居飛車の将棋と比べれば、人によって異なる展開になりやすいので、最近はそこを掘り下げてみたいなという思いもあります。振り飛車の大家もいろいろいると思うんですが、「藤井システム」の藤井猛先生の将棋は、ある種歴史的な文脈を豊かに継承しているところが、同じプロから見てもシンプルに魅力的かなと思うところがあります。最初におっしゃってたように、戦法としても、ちゃんとこの戦法もできるという状態で指すことを目指しているんですけど、こういう大事な一番で指すのいうのは、自分には気持ちが乗るということもとても大事なので、残留に向けた大きな一番に気持ちを載せて指すことができました。
 
Q: ご丁寧にありがとうございました。
 

佐藤天彦九段の言いたいこと

「現在トップ棋士の間で主流となっている相居飛車はAIによる研究がさかんで、その研究成果が反映されているので、だれが指しても途中までは同じ形になってしまう。そんな中で、振り飛車対抗型は、まだ一人一人が個性を出せる環境にあり魅力的。大事な一番でも、気持ちを込めて指すことが出来るので、これからも振り飛車を指して、自分らしい将棋というものを掘り下げてみたい」と言う感じでしょうか。
 

新しいうねりに

確かに、最近のAI研究に基づいた相居飛車の対局は、研究の深さと終盤の圧倒的な正確さで、藤井聡太竜王名人の独壇場となっております。これだと、針の穴を通すようなコントロールが求められるピッチングのようなもので、やや疲れが感じられるのも確か。菅井竜也八段に、豊島将之九段。そして佐藤天彦九段が振り飛車を指して活躍すれば、振り飛車が新しいうねりになってくるに違いありません。