ふきんとうだより

フォーク、藤井聡太、宮沢賢治、佐々木朗希、石川優子についてつらつら語ります

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佐藤天彦九段 振り飛車・三間飛車で順位戦・佐々木勇気八段にも勝利

佐藤天彦九段 振り飛車佐々木勇気八段との順位戦に勝利

1/10 A級順位戦の第7回戦が行われました。最近、振り飛車を連採している佐藤天彦九段は先手で三間飛車を選択、187手と深夜に及ぶ熱戦を制し、順位戦の成績を3勝4敗としました。
 

佐藤天彦九段の直近7局の戦型と成績

1/10  佐々木勇気八段 順位戦 三間飛車   〇
1/7     渡辺明九段   NHK杯 向い飛車   〇
12/26 八代弥七段   王位戦予選 四間飛車 〇
12/21 村中秀史七段  棋聖戦予選 向い飛車 〇
12/8    広瀬章人九段  順位戦 四間飛車   〇
11/29  佐藤秀司八段  王位戦予選 四間飛車 〇
11/24  戸辺誠七段   朝日杯 居飛車 × (戸辺七段が中飛車)
 

佐藤天彦九段が振り飛車を連採 6連勝中

今年度に入って佐藤天彦九段が振り飛車を採用することが多くなりました。直近の6局は、すべて振り飛車で、すべて勝利しているので、好調を維持していると言っていいでしょう。12/8の広瀬章人九段戦では、勝利した後のインタビューで、最近なぜ振り飛車で指すのかを明快に語っていました。その模様は、こちら

 

fukinto.com

 

佐藤天彦九段が振り飛車に対する思いを再び語る

佐々木勇気八段戦の後にもインタビューで振り飛車に対する思いを語っています。
順位戦(佐々木勇気八段戦)直後のインタビューをまとめてみました。(一部省略しています) 
 
ー 居飛車振り飛車の両にらみだったんでしょうか?
 
そうですね。相手の陣形もいろいろと含みのある形だったので、普通に振り飛車にするのもありなんですが、本譜のように駆け引きをして、今までと違う形にできるかなと思っていました。
 
ー 三間飛車対急戦になりましたが、これも相手に応じてでしょうか?
 
居飛車側はかなり手が広いので(多くの選択肢があるので)、形を絞り込むのは難しいと考えていました。
 
ー ☖6五歩、☗7八金は想定内でしたか?
 
部分的に考えたことはあったんですけど、まあどうなるかなと思っていました。
 
ー 角交換になって中盤の押し合いになりましたが、そのあたりはどうだっんでしょうか?
 
まあ、ずっと難しかったです。部分的にはよくなる順があるはずだと思っていましたが、基本的には、よくわかっていなかったです。
 
ー どこかまずかったなという場面は
 
端を取り込まれたのがよくなかったです。
 
【このあと指し手に関してのやりとりが続きますが省略】
 
ー これで順位戦3勝4敗となりましたが
 
中盤戦で星が伸びずに下を見る戦いになってしまっているので、そこは大変なんですけど、この勝利は大きいです。気を引き締めてがんばらねば。
 
ー 振り飛車連採で、大師匠(大山康晴十五世名人)のようだという声もあがっていますが
 
いや、・・・やっぱりでも・・・ソフトがあるので、序盤から神経を使います。広瀬さんの時もそうですけど、序盤で詰められるのではと。中盤はそうですね。金が上がっていくのは、大山先生がよく指されていた形だと思いますし、大山先生が用いられていたような勝負の仕方というのは、今に生かせるのかなと思います。そのあたりは昨今の考え方としては主流ではないと思いますけど、試してみてやりがいがある、やってみる価値があると思っているので、そういう方針で指せたのは良かったです。
 
ー 次が菅井八段ですが、菅井八段についてはどうご覧になっていますか?
 
菅井さんの将棋もいろいろな変遷を経て、今の位置にたどり着いています。昨今の主流ではないとらえ方で勝負されているのですが、タイトルにも挑戦されています。すぐ真似できるかというと、難しい造りの将棋かなと思います。菅井さんに限らず、振り飛車党の個性というか、みんな勝負の仕方がかなりちがいます。居飛車党は研究を突き詰めてというのが主流なんですけど、振り飛車は勝負の仕方が、個人によってかなり異なるので、その辺はみんな参考になるというか、自分が振り飛車を主に用いるようになって、振り飛車の勝負の仕方というものが、ちょっとずつわかってくるところが面白い。参考にしながら、やっていけたらなという感じですかね。
 
ー 今後の抱負
 
振り飛車を指すようになったことは、自分にとって大きな変化なんですが、実はまだそんなに日が経ったわけではないんですね。一局一局大変だと思いながらやっている訳ですが、並み居るトップ棋士と指していく中で、ものすごく明るい展望を語るのは難しいんですが、今まで通り積極的に指していく中で、明るい展望が見えてくればいいなと思っています。
 

 

ふきんとうのコメント

佐藤天彦九段の師匠は中田功八段。その師匠が大山康晴十五世名人ですから、佐藤天彦九段は大山康晴十五世名人の孫弟子ということになります。最近、大山さんのような将棋が取り上げられることはあまりないのですが、佐藤天彦九段が大山さんのような粘り腰の振り飛車を指しているのは、うれしいことです。角換わりに代表されるような、研究がなければ指しづらい将棋ではなく、個性の出せる振り飛車が楽しいという気持ちが伝わって来ます。大山康晴十五世名人は相振り飛車はあまり指さず、相手が振り飛車なら居飛車でした。対菅井八段戦は、菅井八段が振るなら、佐藤天彦九段は居飛車穴熊にでも構えるかもしれません。いずれにしても熱戦が期待できます。