ふきんとうだより

ふきのとう、フォーク、宮沢賢治、石川優子についてつらつら語ります

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岡村孝子 「潮の香りの中で」

忘れられない名曲

今回ご紹介するのは、岡村孝子の「潮の香りの中で」。女性が潮の香りの中で、去っていく男性に発している内面の声。切ない気持ちを忘れな草に託しています。

あらまし

1983年4月に発売された、あみんの「P.S. あなたへ」に収録されている名曲。あみんは、岡村孝子加藤晴子でなるデュオグルーブですが、この曲は、岡村孝子によるソロボーカルです。
岡村孝子のソロアルバム『アンダンティーノ ア・テンポ』(1987)にもセルフカバーされて収録されています。

 

歌詞

潮の香りの中 二人黙ったまま
別れの気配を 悲しいほど感じて
夕べ考えてた言葉 口にできず
私の気持ち知らずに 行ってしまうのね
こんなにも あなただけ愛したのに
好きですと言えなくて ごめんなさい
もう二度とあなたには 会えないから
わかってほしかった
今 あなたの後ろ姿を 一人きりで見送ったけど
ぬぐいきれず 涙ひとつぶ
こんな私は ばかね
 
風が冷たいから 泣いているだけなの 本当よ
誤解しないで もう さよなら
そっと 呼びとめたい 肩を抱きしめたい
今なら 間に合うくせに 強がってみたの
どうしても 素直には なれなかった
わがままな私です ごめんなさい
できるならそばにいて 私のこと みつめてほしかった
 
今 港の見える丘には 海をみつめる 忘れな草
風に吹かれ ゆらりゆれてる まるで私のように
 
今 港の見える丘には 海をみつめる 忘れな草
風に吹かれ ゆらりゆれてる まるで私のように

 

忘れな草

忘れな草
この曲を「忘れられない」名曲にしているのは、歌詞の最後に出てくる「忘れな草」にちがいありません。自分の気持ちを素直に伝えられなかった切ない気持ちと後悔を「忘れな草」に託しており、実は彼女自身が「ゆらり、ゆられながら、海を見つめている」のです。岡村孝子の歌詞には、よく読むと矛盾というか、やや整合性の取れない部分があるのですが、それも女性のうつろう心理や感情と考えれば、致し方ないものと受け入れられます。これまで、いとしい気持ちが募ってきたのに伝えられないまま迎えた別れの瞬間の感情。岡村孝子さんの世界は、その美しさと深い感情表現で多くの人々に愛されています。

港の見える丘から遠くを見つめる女性と風に吹かれて揺れている忘れな草