ニューミュージックを忘れないで
NHKラジオを聴いていましたら、1970-80年代の日本のシティポップが海外でも高い評価を受けていることが話題になっていました。山下達郎、竹内まりや、大貫妙子などに代表されるポップミュージックです。そんな流れとはちょっとずれるのですが、同じ時代に登場し、忘れてほしくない、でもあまりブームになってほしくないシンガーソングライターたちがいます。当時、ニューミュージックと呼ばれたカテゴリーのミュージシャンたちです。例えば、以下のような歌手です。ふきのとう、松山千春、中島みゆき、下成佐登子、相曽晴日、石川優子、岡村孝子(あみん)などなど。松山千春や中島みゆきは数々のヒット曲を持ち、今なお現役ですね。岡村孝子も病を克服して、今も歌っています。そんな中で、とても優れた創作力、歌唱力、そしてルックスを持ち合わせた「下成佐登子」にスポットを当ててみましょう。
下成佐登子 きらめく風のような妖精
プロフィール
3歳の時からオルガン、5歳からピアノの個人レッスンを始める。小中学校の音楽クラブでクラリネットを担当。中学2年の時からオリジナル曲を作り始める。メジャーデビュー1978年、高校2年で出場した『第15回ヤマハポピュラーソングコンテスト九州大会』に「秋の一日」が長渕剛「巡恋歌」とWグランプリを獲得。その後、『第15回ヤマハポピュラーソングコンテストつま恋本選会』に出場するも入賞を逃す。その後、親にヤマハ音楽振興会から電話があり、記念の1枚という事でレコーディング。1978年8月25日に、ビクター音楽産業からシングル「秋の一日」でデビュー』
曲紹介
「霧雨の夜」はアルバム「秋の一日」のトップに収録されている曲で、作詞は来生えつことなっているので、原曲「もう一度私の胸に」とはちがうのでしょう。しかしメロディを聴くと、とても高校一年生が作ったとは思えない完成度の高い曲です。
「秋の一日」はデビューシングルで、デビューアルバムのタイトルにもなっています。下成佐登子の代表作です。別れた愛しい人をなつかしみながら、涙ぐむ乙女の心情を切々と歌い上げています。
歌の出だしはこんな感じです。
白いピアノの上に置いた
名もない詩人の詩集
少し開けた窓から
秋風がいたずらにめくっている
何を見ても涙ぐむ
やりきれない時間 ・・・
アルバム「秋の一日」はおすすめ
このアルバムを聴いていただければ、わかりますが、伸びやかで、しっとりとした歌声。心に沁みるようなせつない旋律、浮き立つようなメロディー。そしてふっくらとしたやさしい面影。下成佐登子は「きらめく風のような妖精」です。
「秋の一日」一曲だけでなく、アルバムを通して聴くと、その10曲の織りなす風景がきっとあなたの心の中に優しいそよ風を送り込むことでしょう。
2015年にCDが復刻版として発売されました。若い時に聴いていたわたしの世代がなつかしむだけでなく、今の若い人たちにもぜひ聴いてもらいたいシンガーソングライターの一人です。
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