ふきんとうだより

フォーク、藤井聡太、宮沢賢治、佐々木朗希、石川優子についてつらつら語ります

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藤井聡太竜王 対 伊藤匠七段 竜王戦第四局 藤井聡太竜王が防衛

藤井竜王防衛 伊藤匠七段初勝利ならず

第36期竜王戦藤井聡太竜王3連勝で迎えた第四局。北海道小樽市銀鱗荘で行われました。あと1勝で防衛と迫った藤井聡太竜王が、長手数の詰めを逃さず4勝目をあげ、竜王位を防衛しました。対する伊藤匠七段。藤井竜王以外には勝ちまくっているのですが、残念ながら竜王戦4連敗。通算でも対藤井聡太竜王名人0勝6敗です。
そこまで力の差があるとは考えにくいので、ぜひ次の機会にがんばって下さい!
本局の見どころを振り返って見ましょう。
 

一日目

戦型は角換わり

先手・藤井竜王が角換わりを目指すのに対して、後手の伊藤匠七段がどう応じるかが注目されました。前回の記事で、藤井竜王の得意な形にさせないのも一考と書いたのですが、伊藤匠七段は全くそんなことは考えず、堂々と角交換に応じます。解説の門倉五段も「藤井竜王が先手・角換わりで最近負けたのを見たことがない!」と伊藤匠七段の選択に驚いていたくらいです。やはり、振り飛車を指す気にはならず、勝っても負けても正々堂々と戦うということですね。ボクとしては、振り飛車だって正々堂々なんですがね。

振り飛車で相手の得意形をはずすのもいいのではと書いた記事はこちら

fukinto.com

 

昼食

 

藤井竜王の大長考

昼食後、指し手が進まなくなりました。評価値は50:50が続いているのですが、藤井竜王が大長考。どんどん持ち時間が減っていきます。何か誤算があったのか、はたまたかなり先まで読みこんでいるのか。大長考の末、藤井竜王は飛車で伊藤匠七段が打った角を取るという大胆な手を指しました。ここで、伊藤匠七段に評価値が振れ、藤井40:60伊藤匠となりました。一気に中盤から終盤の入り口まで来てしまった感じです。ここで伊藤匠七段が封じ、一日目が終了。
 

二日目

伊藤匠七段の封じ手は大方の予想通り☖2四同歩と飛車を取る手でした。このあたりでは伊藤匠七段の評価値が70%ほどになり、指しやすいと見られました。しかし、8筋にすぐに手を付けなかったのが、緩かったのか徐々に藤井聡太竜王が盛り返してきました。

昼食

終盤

伊藤匠七段は☖8六香と打ち藤井玉に迫ります。しかし、藤井竜王はギリギリですが、しっかりと受け切り、最後は最短で21手詰という局面で、37手詰の手順で読み切りました。

藤井聡太竜王名人の驚異的な勝利と記録

このシリーズでは、伊藤匠七段を全く寄せ付けず、4連勝で竜王位を防衛。タイトル19期連続獲得・防衛となりました。驚異的な勝利と記録が続きます。連続19期は大山康晴十五世名人と並んで歴代1位タイ、タイトル通算19期は、米長邦雄永世棋聖と並ぶ歴代6位。わずか21歳でこの記録は驚きを通り越してしまいます。

伊藤匠七段にはさらなるチャンスが

ストレートで敗れた伊藤匠七段。予選から挑戦者決定戦まで、圧倒的な強さを見せていただけに、七番勝負では実力を出し切れなかった印象です。同時に、インタビューなどからも、藤井聡太竜王名人の絶対的な強さに対する敬意が前面に出ていたので、それゆえに疑心暗鬼になって、中盤の迷いにつながったのかもしれません。しかし、研究熱心な伊藤匠七段。次はさらに強くなって、タイトルを取るんだという意気込みを見せてほしいです。