「風の又三郎」のあらまし
『風の又三郎』(かぜのまたさぶろう)は、宮沢賢治の児童小説。賢治の死の翌年(1934年・昭和9年)に発表された作品です。この物語は、村の子供たちの心象風景を現実と幻想の交錯として描いています。1931年~1933年(昭和6~8年)に、賢治が大正年中に書いたいくつかの先駆作品をコラージュしながら書き上げたものです。風の精のSF的冒険談である「風野又三郎」をもとに、主人公が現実の人間に変更され、より現実的な物語に変貌しています。
あらすじ
谷川の岸の小さな小学校に、9月1日、不思議な少年高田三郎が風と共に転校してきました。三郎は赤毛で不思議な雰囲気を持っています。子供たちは彼を「風の又三郎」と呼ぶようになります。田舎の素朴な遊びの中で、ぶつかったり、仲直りしたりと、子供たちは三郎と交流を深めていきますが、三郎の正体については謎が深まるばかりです。
見どころ
三郎と風の関係:
どっどど どどうど どどうど とどう
そして、この物語は9月1日の朝に始まります。
子供たちの三郎に対するあこがれと反発:
子供たちは三郎に対して好奇心と憧れを抱く一方で、その不思議な力に対する恐れや反発も感じます。この相反する感情が物語を引き立てています。
土着信仰と現実の間で育っていく子供たち:
物語の中で描かれる土着信仰や自然観が、子供たちの成長とともにどう変化していくのかが見どころです。
方言の使用:
賢治は物語の中で方言をそのまま使用しており、その地方特有の雰囲気や文化が感じられます。