「観る将」という表現を最近よく目にするようになりました。最初はどういう意味なのか一瞬わかりませんでしたが、文脈からすると将棋を指すわけではないが、他の人が指しているのを観ることが好き、というような意味だろうと推察しました。goo辞書では「俗に、自分では将棋を指さずに、プロ棋士などの対局の観戦を楽しむ将棋ファンのこと」という説明でした。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E8%A6%B3%E3%82%8B%E5%B0%86/
しかしいろいろと検索してみますと、2015/5/18にすでに「観る将」という表現が使われていたんですね。(将棋ワンストップ・ニュース)
長いこと将棋界について読んだり、対人で将棋を指したりする機会がなかったわたしですが、ときどき思い出しようにAIと対戦したり、インターネットに出てくる将棋の情報に時折接してはいました。そんなある日「天才少年現る、藤井聡太。14歳にてプロ棋士に」そして「そのまま29連勝」という見出しがありとあらゆるメディアに出てくるようになりました。結果として将棋を指したことのない人々も藤井聡太四段(当時)を始め将棋界の動向に注目するようになったわけです。その流れで「観る将」の輪は広がり、将棋を全く指さない人、駒の動かし方くらいはわかるものの、将棋の内容よりも棋士が対局日の休憩中にどんな食事をしたのかに関心を示す人たちが積極的に意見を発信するようになったのが今の状況というか活況ですね。
(cakes 2015/10/26「今日から萌えられる! 「観る将」のはじめ方」 All about 2017/8/4「将棋観戦の楽しみ方と、いま話題の「観る将」を解説」なども参考になります)
これまでも将棋界が世間の注目を浴びるようになるきっかけをつくった棋士たちが幾人もいました。たとえば坂田三吉、木村義雄、升田幸三、大山康晴、中原誠、羽生善治、林葉直子などです。それぞれの時期にも彼らを観ることを楽しむファンはいたかもしれませんし、新聞やテレビも取り上げていましたから、知名度は高かったに違いありません。
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しかし、これまでは今ほど個人が意見を発信したり、横のつながりを作る手段がありませんでした。でも今はインターネットとSNSの普及によりだれかが「わたしは観る将だけど、あなたは?」と問いかければ、すぐに「わたしも!」とか「観る将ってなに?」という反応がすぐに帰ってきます。それで藤井時代を迎えた今の将棋界は「観る将」のネットワークによりさらに活気を増していくでしょう。
かってに藤井時代という区切りを作ってしまいましたが、将棋界の歴史に少しでも触れたことのある方でしたら、一定の周期で時代をリードする棋士が登場することはご存じでしょう。次回はそのあたりを取り上げてみたいと思います。
2021/2/28 追記 「描く将」も最近盛んですね。皆さんの棋士を見る目が優しいことに感動します。りお🍓観る将さんの描かれた絵がそのよい例です。
昨日順位戦を見ながら練習した絵を投下!色を塗るところまではいけなかった。特徴つかむの難しいな。修練が足らん!😤#描く将#A級順位戦 お疲れさまでした。 pic.twitter.com/Tx6RWRdMJs
— りお🍓観る将 (@Y26348999) February 27, 2021