ふきんとうだより

フォーク、藤井聡太、宮沢賢治、佐々木朗希、石川優子についてつらつら語ります

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宮沢賢治 「セロ弾きのゴーシュ」のあらすじ

セロ弾きのゴーシュ」のあらまし

セロ弾きのゴーシュ」は、宮沢賢治の童話で、1934年賢治の死の翌年に発表されました。この物語は、活動写真館の楽団でセロを弾く主人公のゴーシュが、訪れる動物たちとの交流を経て、演奏とともに考えに変化が生じるという内容です。この作品は、宮沢賢治人間性と音楽への愛情が表現された作品として、今でも愛され続けています。

あらすじ

 ゴーシュは下手な演奏で楽団の足を引っ張っていた

主人公のゴーシュは町の活動写真館でセロを弾く係りでした。楽団は「金星音楽団」と言います。セロというはチェロのことで、弦楽器です。ゴーシュは一生懸命練習しているのですが、なかなかうまく弾けないため、楽長から厳しく叱られ、ねちねちといじめられていました。町の音楽会で演奏する第六交響曲を練習しているのですが、「なぜ他の楽器と合わないのだ。いつでもきみだけほどけた靴のひもをひきずってみんなのあとを歩くようなんだ」と散々な言われようです。ゴーシュは、みんながいなくなったあと、ゴーシュはセロを抱えて壁の方を向いて、ぼろぼろ泪(なみだ)をこぼします。
 

次々と登場する生き物たち、そして音楽会

家に戻ったゴーシュは、夜中まで一心不乱にセロを弾きます。眼が血走り、今にも倒れそうになったところに三毛猫がやって来ます。そいつはゴーシュの畑のトマトを勝手にもいで持ってきたため、ゴーシュは怒りだします。三毛は悪びれずに「シューマンのトロメライをひいてごらんなさい。きいてあげますから」と言います。ゴーシュは生意気な猫めと言いますが、弾き始めます。ゴーシュの怒りに満ちた演奏を聴いて三毛は逃げるように去っていきます。
次の日の晩、今度はかっこうがやって来ます。かっこうはドレミファを教えてほしいと言ったものの、ゴーシュの音が少しちがうと言って「かっこう、かっこう」と叫びます。ゴーシュは弾き続けているうちに、かっこうの音が正しいことに気付きます。
次の日の晩、来たのは狸の子です。狸の子は「愉快な馬車屋」というジャズを弾いてくださいと頼みます。そして、持ってきた棒でぽんぽんと叩いて拍子を取り出したのです。子狸はゴーシュが二番目の弦を弾く際に遅れることを指摘します。子狸の拍子に合わせて弾き続けると夜が明けます。
次の晩は、明け方になって野ねずみが入ってきます。野ねずみはこどもの病気をなおしてくださいと頼みます。ゴーシュには訳が分かりませんが、どうもゴーシュのセロの音を聴いて、近所の生き物の病気が治ったらしいのです。それから六日目の晩、いよいよ音楽会です。どうなりますか・・・
 

ゴーシュという名前

ゴーシュはフランス語の「不器用な」を意味している gauche から取られたようです。賢治自身もチェロを学んでいたため、その時の経験が土台になっていると考えられます。