ガーベラは石巻が生産の中心
宮城県仙台市中央卸売市場の川部勉さんがアナウンサーの質問に答える形で、市場の様子などがまず説明されました。仙台中央卸売市場では、1973年に中央卸売市場としては日本で一番最初の花卉部が誕生。以降東北地方における花卉流通の拠点となっているそうです。そして、全国的に見ても花の商品が多い地域となっていて、2021年度総務省の家計調査年報によると、仙台市の一世帯当たりの切り花の購入額は全国第一となっています。
ー今回ご紹介いただくのはガーベラということですね。形はお日様の形ですし、色も暖かいし、春そのものという印象ですけど、宮城県産のガーベラの特徴は川部さんどんなところですか?宮城県石巻の桃生(ものう)町が東北一のガーベラの生産地になります。太平洋寄りで山沿いに比べると晴れる日が多いので、日照時間が長く栽培に適しているところになります。1993年から生産を開始して約30年ぐらい生産しております。東日本大震災でもガーベラを枯らさなかったはい、当時ですね。電気、水道などのライフラインはもちろん止まりました。津波こそまぬがれましたが、栽培用の棚などが倒れる被害がありました。まあ、そんな中で水道は2週間以上止まったままで、支給されるものも一回で2Lの水しか届かないような状況だったんですけども、ガーベラの生産者たちが協力してですね、堀の水をポンプで組み上げて。ガーベラに水やりをして畑を枯らさないように苦労したって聞いております。そして当時はですね。畑を枯らさないよう頑張っても、あの震災直後、花を買う人がいないので、避難所や仮設住宅、家族を亡くした方などにあげて、悲しみ渦巻く中、手向けとか、残された人にひとときの癒しとしてガーベラを提供しておられたと聞いてました。あと、NHKさんのですね。震災支援プロジェクトで復興支援ソング「花は咲く」で復興のシンボルとして取り上げていただきましたので、ええ、本当にありがたかったですね。ー歌いながら手に持っておられましたよね。そのガーベラの出荷量が戻るまではどのくらいかかったんでしょうか?ガーベラ農家から市場には、一年以内に出荷できるようになったんですけども、まあ、あの2,3年後には、出荷量も以前と同じぐらいに戻ったでしょうかね。ただ、周りがまだ復興はしていなかったため、売上が戻るには5年ぐらいかかったと思います。ここが落ち着いた頃に、新鮮なまま生花店に花を届けるにはどうしたらいいかということで、いろんな輸送方法を試す実験を行ったり、ガーベラの売上を伸ばすように頑張っておりました。おすすめは赤いガーベラ「スリ」と白い「ホワイトスター」ーそうした努力も積み重ねられて、今年もたくさん流通してますか?はい、暖冬の影響もなく順調と聞いております。主にですね、地元や関東圏に出荷しております。一年を通して出荷してるんですけども、3月から6月、これからが旬になります。夏場はちょっとカビが発生しやすくなるので、今からが一番楽しめる時期だと思いますね。ー種類はどのくらいあるんですか?はい、花の形状もいろいろありまして、花びらが一重のシングル咲き。あと八重咲きのセミダブル。完全に八重咲きのフルダブル。あと、花の形がボールのようなポンポン咲き、花びらが細いスパイダー咲きなど、いろいろありまして。ガーベラのくくりで言うと、だいたい全部で500種以上あるようです。石巻ではですね、スタンダードなシングル咲きを中心におよそ70品種を出荷しておりますね。ーそうですか?川部さん、そのうちおすすめはどんなものですか?はい、まず赤いガーベラでスリという品種。白いガーベラでホワイトスターという品種をあげさせていただきます。はっきりとした色合いで石巻で多く生産している人気の品種ですね。あとはですね。サララというライトピンクの八重咲き品種ですね。咲くとダリアのような花型になって、とても可愛らしいのでおすすめです。ーはい。まあ、スタジオに写真が届いています。赤いスリ、それからええ白いホワイトスターという品種です。鮮やかくっきりですね。真っ赤と真っ白って感じでとっても綺麗ですね。はい、それからサララでしたっけ?ええ、ピンク色。花びらの数も多くて。豪華ですね。存在感がありますね。川部さん、地元で人気のものはどういった品種になるんですか?幸せを贈る「ロイヤルブルー」地元の高校生の間では、青い花を贈ると相手が幸せになると言ってですね。卒業式などに青い花を贈るのが流行っているようです。ええ青いガーベラはブルーとかロイヤルブルーという名前で流通してるんですけども、幸せになってくださいという意味でプレゼントされているようですね。ーその青いガーベラの写真も今手元にあります。こちらも鮮やかで。こんな色があるんですね。これは本来の青色のガーベラではなくてですね。着色料で染められている品種になります。
#マイあさ 市場だよりは「ガーベラ」 左から深紅の「スリ」 白の「ホワイトスター」 八重の「サララ」 そして青の「ブルー」色も形もさまざま… 仙台市中央卸売市 #川部勉 さんから。https://t.co/KAaeY2iadC pic.twitter.com/LSwnatZW7x
— NHKラジオニュース (@nhk_radio_news) March 10, 2024
純粋な気持ちを忘れずに
青いガーベラを贈り合う高校生。何だか甘酸っぱい青春の物語ですね。純粋な気持ちをいつまで忘れずにいてほしいものです。そんな可憐なガーベラも、農家の皆さんの奮闘で、東日本大震災直後の水不足もはねのけました。やはり植物は、人間が愛でると強くて美しいのですね。私の妻も一生懸命バラを栽培しています。もっと手伝ってあげないといけないなと反省しきりです。