ナショナルリーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第2戦、ロサンゼルス・ドジャースは敵地アメリカン・ファミリー・フィールドでミルウォーキー・ブルワーズと対戦。息詰まる投手戦が予想されたこの試合は、誰もが予想しない形で幕を開けました。しかし、そこから生まれたのは、一人のエースが見せた圧巻の修正能力と、王者の風格を取り戻したチームの力強い戦いぶりでした。
崖っぷちから這い上がったドジャースが、敵地で貴重な2連勝を飾り、ワールドシリーズ進出へ大きく前進です。この劇的な一戦を、選手の活躍と共に詳しく振り返っていきましょう。
衝撃の幕開け…先頭打者初球ホームラン
ドジャースの命運を託され、マウンドに上がったのは山本由伸投手。今季、メジャーの舞台でもその実力を遺憾なく発揮してきた右腕ですが、この日はまさかの立ち上がりとなります。
ブルワーズの1番、若きスター候補ジャクソン・チョーリオ選手に対し投じた初球。高めに浮いたストレートを完璧に捉えられ、打球はライトスタンドへ一直線。プレーボール直後のたった1球で、ドジャースは先制を許してしまいます。球場全体がブルワーズファンの大歓声に包まれ、重苦しい空気がドジャースベンチを覆いました。
ポストシーズン特有の雰囲気、そして第1戦を落とし絶対に負けられないというプレッシャーが、精密機械と称される山本投手のコントロールをわずかに狂わせたのかもしれません。
流れを変えた一振り!ドジャース打線がエースを攻略
しかし、今のドジャースはこのまま黙って引き下がるチームではありません。1点のビハインドを背負った打線が、すぐに反撃の狼煙を上げます。
2回表、6番のテオスカー・ヘルナンデス選手がブルワーズのエース、フレディ・ペラルタ投手のスライダーを強振。打球はレフトスタンドへ飛び込む同点ソロホームランとなり、試合を振り出しに戻します。この一発で、チームは息を吹き返しました。
さらに、9番のアンディ・パヘス選手がライト線へタイムリーツーベースヒットを放ち、勝ち越しに成功。続く5回には、マックス・マンシー選手のソロホームランでリードを広げ、ドジャースが試合の主導権を完全に握ります。
大谷翔平、躍動!貴重な追加点を叩き出す
そして、日本のファンが待ち望んだ瞬間は8回に訪れました。チャンスの場面で打席に立った大谷翔平選手が、ライトへクリーンヒット。これが貴重なタイムリーヒットとなり、4点目を追加します。さらに、すかさず二塁へ盗塁を成功させ、その身体能力の高さを見せつけました。この大谷選手の一打と足で、ブルワーズの戦意を削ぐ大きな一撃となりました。
最終的にドジャースは9回にもダメ押しとなる5点目を挙げました。
圧巻の修正能力!山本由伸、雪辱のメジャー初完投
打線の援護を受けた山本由伸投手は、2回以降、まるで別人のようなピッチングを披露します。
初球のホームランで逆に目が覚めたのか、持ち前の修正能力を存分に発揮。切れ味鋭いスプリットと伸びのあるストレートを低めに丁寧に集め、ブルワーズ打線に的を絞らせません。凡打の山を築き、奪三振ショーを繰り広げました。
終わってみれば、9回を投げ抜き、許したヒットはわずか3本(うち1本は初球のホームラン)、奪三振7、与えた四球は1つのみ。1失点完投という、これ以上ない内容でポストシーズン初勝利を挙げました。初球に浴びた一発を、自身の力で見事に雪辱したその姿は、まさにエースの投球そのものでした。
試合後の山本由伸投手のコメント:
「色んな球を使っていけた。立ち上がり投げていてすごく積極的にきているのを感じたので、そこで有効な球をいいところに投げていけた。そういったところが繋がった」
「メジャーでの初完投は達成感を感じた。勝ちに貢献できたのがすごく嬉しかった」
「皆、すごくいいピッチングをしているので、そのリズムに乗って、自分も何かいけるぞという気持ちになりましたし、結果以上にいい効果を感じています」ドジャース 山本由伸 試合後インタビュー
— 【MLB速報】放送地区【大谷速報】 (@MLB_comment) October 15, 2025
「色んな球を使っていけたので、立ち上がり投げていてすごく積極的にきているのを感じたので、そこで有効な球をいいところに投げていけた。そういったところが繋がった」
「メジャーでの初完投は達成感を感じた。勝ちに貢献できたのがすごく嬉しかった」… pic.twitter.com/5FQcLhr41O
ブルワーズのマーフィー監督がドジャース 山本由伸を絶賛。
— ショウタイムズ【公式】 (@shoutaimuzu) October 15, 2025
「見てきた中で群を抜いて支配的」と脱帽。スプリットと速球の見分けがつかない完璧なフォームを称え、「あの17イニングは今まで見た中でも最高」とスネルと共に最大級の賛辞を送った pic.twitter.com/kojptL6UEK
佐々木朗希は登板なし。ロバーツ監督の意図とは
この試合、ブルペンで待機していた佐々木朗希投手の登板はありませんでした。試合後、デーブ・ロバーツ監督はその起用について次のように語っています。
「今日は由伸が素晴らしい投球をしてくれた。彼が最後まで投げてくれると信じていた。朗希については、様々な要因を考慮して、この試合で投げる予定はなかった。彼は我々にとって非常に重要な存在だ。シリーズの今後の展開を見据え、最も重要な場面で彼の力を借りたいと考えている」
このコメントから、監督が佐々木投手をシリーズの切り札として温存していることが伺えます。連戦となるポストシーズンを勝ち抜くための、長期的な視野に立った戦略と言えるでしょう。
まとめ:王者の進撃は止まらない!ホームでワールドシリーズ出場を決めるか
初球ホームランという衝撃的な幕開けから一転、山本由伸投手の圧巻の完投勝利で敵地2連勝を飾ったドジャース。投打が完璧に噛み合い、チームは最高の雰囲気で本拠地ロサンゼルスに戻ります。
崖っぷちに立たされたブルワーズも、このまま黙ってはいないでしょう。しかし、シリーズの流れを完全に掴んだドジャースの有利は動きません。大谷翔平選手の勝負強い打撃、そして山本由伸投手の雪辱の快投。日本人選手の活躍が、チームをワールドシリーズへと導いています。第三戦以降の佐々木朗希にも引き続き注目していきましょう!
ホームの大声援を背に、ドジャースは一気にワールドシリーズ進出を決めることができるのか。次戦からも目が離せません。