1. 出来事のあらまし
2025年2月6日、東洋水産が「マルちゃん 赤いきつね」の新たなウェブCMを公開しました。この約30秒のアニメーション動画では、若い女性が自宅でテレビを見ながら涙を流し、「赤いきつね」を食べる姿が描かれています。特に、頬を赤らめたり、麺をすする口元がアップで映るシーンが特徴的でした。
だしって…なんかホッとしないですか?
— 【公式】東洋水産株式会社(マルちゃん) (@toyosuisan_jp) February 6, 2025
CV:市ノ瀬加那 @ichinose_1220#ひとりのよると赤緑 pic.twitter.com/G8IZ3I2dtM
しかし、公開から10日ほど経った2月16日頃、Xを中心とするSNSで「性的だ」「不快」といった批判が一部から上がり、物議を醸すことに。さらに、「このCMは生成AIを使って作られたのではないか」という憶測も飛び交い、議論が過熱しました。一方で、「性的要素はない」「過剰反応だ」と反論する声も多く、いわゆる「エア炎上」とも呼ばれる状況が生まれました。制作を担当した株式会社チョコレイトは2月21日に公式声明を出し、騒動に対応する形となりました。
2. 制作会社の公式見解
東洋水産自体は、この騒動に対して公式なコメントを出していません。取材に対しても回答は「未定」とされており、いわゆる「スルー戦法」を貫いています。一方、CMの企画・制作を手掛けた株式会社チョコレイトは、X上で「本作はすべての制作過程において一切の生成AIを使用しておらず、すべてプロのアニメーター・クリエイターによる手作業で制作されたものです」と明確に否定しました。また、「作品の表現は、制作チームと共に検討・制作した」と説明し、関係者への誹謗中傷や虚偽情報拡散を控えるよう呼びかけています。この対応から、東洋水産側は直接的なコメントを避けつつ、制作会社を通じて事実を明確化する戦略を取ったと見られます。危機管理の観点からは、沈黙を保ちつつ炎上が自然に収まるのを待つ姿勢が評価される一方、AI使用疑惑に対する明確な否定は注目ポイントです。
3. AIを使うと
仮にこのようなCMが生成AIを活用して作られていた場合、どのような影響があったでしょうか。まず、生成AIを用いることで制作コストや時間を大幅に削減できた可能性があります。例えば、アニメーションの背景やキャラクターの動きをAIで生成すれば、手作業よりも効率的です。しかし一方で、AI特有の不自然さ—例えば、座椅子の形状への違和感や動きの微妙なズレ—が視聴者に指摘されるリスクもあったでしょう。実際、一部のユーザーが「AIっぽい」と感じたのは、そうした細部の不整合が原因かもしれません。また、AI使用が明らかになれば、「手作りの温かさが失われた」とブランドイメージに影響を及ぼす可能性も否定できません。しかし、今後は技術の進化をアピールするチャンスとして捉え、むしろ積極的にAIを活用していく道もあるはずです。批判を逆手に取ったマーケティングができれば、話題性はさらに高まるでしょう。
4. 今後の展望
今回の騒動を踏まえ、東洋水産や他の企業はCM制作にどう向き合うべきか。今後、AI技術はますます進化し、アニメーションや映像制作における活用が一般的になるのは確実です。コスト削減や短納期対応が求められる中、AIを使わない手はないでしょう。タレントを起用し、芸能事務所や広告代理店に多額の費用を払うよりも、製造や流通に力を入れる方が、消費者の一層の理解を得ることができるでしょう。もちろん、視聴者の反応も考慮し、AIと人間の創造性を融合させるハイブリッド型のアプローチが鍵となりそうです。たとえば、AIで下絵やベースを作りつつ、細部の感情表現やブランドらしさは人間が仕上げる—そんな制作プロセスが理想的です。また、AI使用を隠すのではなく、堂々と「AI技術を駆使した新時代のCM」と打ち出すことで、技術革新を支持する層を取り込む戦略もありえます。東洋水産には、「赤いきつね」の伝統を守りつつ、未来を見据えた挑戦をしてほしいところです。
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