ふきんとうだより

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福間香奈女流六冠 編入試験第1局 山下数毅四段に敗北

将棋界で長年待ち望まれる「女性初のプロ棋士」誕生への挑戦が、再び動き出しました。福間香奈女流六冠が挑む棋士編入試験の第1局が2026年1月27日に行われ、現役最年少の山下数毅四段との対局は、山下四段の勝利で終わりました。福間女流六冠の得意戦法が封じられ、終盤まで一方的な展開となった注目の対局を、詳しく振り返ります。

福間香奈女流六冠のここに至る経緯

福間香奈女流六冠(33歳)は、現在女流棋界の頂点に立つ存在です。清麗、女王、女流王座、女流名人、女流王位倉敷藤花の6冠を保持し、圧倒的な強さを誇っています。

過去には奨励会に在籍し、三段まで昇段した実績もありますが、年齢制限(26歳)により退会。その後、女流棋士として活躍を続け、2022年には一度棋士編入試験に挑戦しましたが、惜しくも不合格となりました。あれから4年、結婚や出産を経てさらに成熟した棋力を身につけ、再び挑戦の機会を得ました。

受験資格は、直近の公式戦で10勝5敗以上かつ勝率6割5分以上を達成すること。福間女流六冠は2025年10月の対局でこの条件をクリアし、2度目の試験に臨むことになったのです。この挑戦は、将棋界の歴史を変える可能性を秘めています。

対局相手・山下数毅四段の紹介

試験官を務めた山下数毅四段(17歳)は、現役最年少のプロ棋士です。2025年10月1日付で四段に昇段した新星で、奨励会三段時代に竜王戦5組で優勝するという異例の快挙を成し遂げ、「山下ルール」と呼ばれる特例でプロ入りを果たしました。

英国生まれ京都育ちで、プログラミングが趣味。将棋AIの開発にも取り組むなど、現代的な感性を持つ棋士です。詰将棋解答選手権での上位入賞経験もあり、終盤の読みの鋭さが際立っています。デビュー後も着実に白星を重ね、将来のA級棋士候補として期待されています。

戦型:先手中飛車左美濃

振り駒の結果、福間女流六冠が先手番となりました。福間女流六冠は迷わず得意のゴキゲン中飛車を選択。5筋に飛車を振って5五の位を取るこの戦法は、相手の居飛車を苛立たせるような柔軟な攻めが特徴です。

一方、山下四段は高美濃囲いに構えました。左美濃とも呼ばれる堅実な囲いで、銀を左側に寄せて守りを固めつつ、反撃の準備を整えます。この対抗形は、福間女流六冠の経験値が活きるはずの展開でした。

序盤から中盤にかけては互角の駒組みが続き、昼食休憩時点でも大きな差はありませんでした。しかし、ここから山下四段の研究が光ります。

山下四段が有利になり押し切ったポイント

分岐点となったのは中盤の42手目付近です。山下四段は飛車を7筋に効かせ、福間女流六冠の左金を王から引き離すことに成功しました。本来なら囲いに近づけたい金を飛車の利きで釘付けにされ、分離した形を突かれたのです。

福間女流六冠は角を活用しようと試みましたが、山下四段の飛車の捌きが巧みで、攻めのスピードが上回りました。以降は山下四段の攻めが次々と急所を突き、形勢は一方的に傾きます。福間女流六冠自身も「一手一手が難しかった」「駒が引いていく将棋になってしまった」と振り返るように、対応が追いつきませんでした。

終局は108手。山下四段の鋭い読みと終盤力が見事に発揮された一局でした。若手らしい勢いと正確さが、経験豊富な女流六冠を圧倒した形です。

棋譜の解説はアユムさんの動画でご覧ください。


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これからの棋士編入試験予定

棋士編入試験は新四段5人との五番勝負で、3勝すれば合格となります。福間女流六冠は初戦を落としたため、残り4局で少なくとも3勝が必要です。予定は以下の通りです。

  • 第2局:2月16日 片山史龍四段(東京・将棋会館
  • 第3局:日程未定 生垣寛人四段
  • 第4局:日程未定 岩村凛太朗四段
  • 第5局:日程未定 炭﨑俊毅四段

次局は先後が交代し、山下四段戦の経験を活かした調整が鍵となりそうです。

興味深いTips:棋士編入試験の厳しさと中飛車の魅力

棋士編入試験の試験官は、直近でプロ入りした新四段が務めます。彼らは勢いがあり、最新の研究を反映した将棋を指すため、非常に難敵です。過去の受験者も苦戦を強いられており、合格率の低さがこの試験の厳しさを物語っています。

また、福間女流六冠の得意戦法・ゴキゲン中飛車は、相手の居飛車に対して柔軟に戦える振り飛車の一種です。名前の由来は、創始者である近藤正和のゴキゲンな性格からきています。プロ間でも人気の戦法で、攻守のバランスが魅力です。

さらに、山下四段のような若手が台頭する現代将棋では、AIを活用した研究が欠かせません。山下四段のプログラミングスキルが、こうした対局で活きているのかもしれません。

まとめ:次戦への期待が高まる

福間香奈女流六冠の棋士編入試験は、厳しいスタートとなりましたが、まだ4局残されています。初戦の悔しさをバネに、女流六冠の底力を見せてくれるはずです。将棋界の歴史を塗り替える瞬間が訪れるのか、次局以降の対局にも大きな注目が集まります。将棋ファンとして、心から応援しています。