ふきんとうだより

ふきのとう、フォーク、宮沢賢治、石川優子についてつらつら語ります

MENU

ホリエモンはフジテレビ社長になれるのか③:北尾吉孝氏の会見を受けて

2025年4月17日、SBIホールディングス北尾吉孝社長が記者会見を開き、フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の改革案を発表しました。米投資ファンドダルトン・インベストメンツからFMHの取締役候補に指名された北尾氏は、フジテレビの課題を鋭く批判し、独自のビジョンを披露。一方、堀江貴文氏(ホリエモン)は、4月18日のYouTube動画でこの会見に応え、フジテレビのメディア事業再編への意欲を見せました。今回は、北尾氏の会見と堀江氏のコメントを基に、フジテレビ改革の現状と「ホリエモン社長」の可能性を探ります。本記事は、シリーズ「ホリエモンはフジテレビ社長になれるのか①」と「ホリエモン、北尾氏、ダルトン、村上ファンドが動く!ホリエモンはフジテレビ社長になれるのか②?」の続きです!

北尾氏の会見:フジテレビの課題と改革案

北尾氏は、ダルトンが提案するFMHの取締役候補として、フジテレビの現状と改革の方向性を次のようにまとめました。

1. 日枝体制への批判とガバナンス不全

北尾氏は、フジテレビが日枝久氏の長期政権(約20年)で衰退したと指摘します。ガバナンスの欠如やコンプライアンス意識の低さが企業風土に根付き、改革の足かせになっていると厳しく批判。2005年のライブドアによるニッポン放送買収騒動では、北尾氏自身がSBIを通じてフジ側を支援する「ホワイトナイト」でしたが、「当時は正しいと思ったが誤りだった」と後悔を表明。「日枝氏の影響力が問題の根源」と強調し、意識改革を最優先に掲げました。

2. 具体的な改革案

北尾氏は、フジテレビの再生に向けた5つの柱を提案します:

  • ガバナンス改革:取締役会を刷新し、独立社外取締役を導入。現在の経営陣を「オールドボーイズクラブ」と呼び、価値やビジョンの確立を急ぎます。
  • 不動産事業の分離:放送と関連の薄い不動産事業をスピンオフし、メディア事業に集中。
  • コンテンツ強化:アニメやキャラクターIPを活用し、コンテンツ制作力を強化。
  • 政策保有株の解消:資本効率を高めるため、政策保有株式を売却。
  • 外部人材登用:硬直化した組織を打破するため、外部の有能な人材を積極的に起用。

3. ダルトン指名と独自の考え

ダルトンの12人の取締役候補に賛同しつつ、北尾氏は独自の立場を明確にしました。ダルトンが求める「取締役総入れ替え」に対し、清水賢治社長の留任を支持。これは、FMHが3月に発表した人事案(旧体制の延長と批判)を完全否定せず、改革と安定を両立させる現実的な選択です。一方で、FMHが抵抗を続ける場合、SBIとして追加の株式取得(「5%程度は容易」)も辞さないと強硬姿勢も示し、「徹底的に勝負する」と宣言しました。

4. 堀江氏への謝罪と高評価

北尾氏は、2005年のライブドア事件で堀江氏の挑戦を阻止したことを「堀江君に悪いことをした」と謝罪。堀江氏の能力を高く評価し、「もし堀江さんがフジテレビを経営していたら、メディアとネットの融合で高収益企業になっていた」と述べました。この発言は、過去の因縁を清算し、堀江氏のビジョンへの敬意を示すものでした。

懸念点:株主の期待と株価の動き

北尾氏の会見中、堀江氏への協力言及がなかったことに、一部の株主や視聴者が失望したとの声が上がりました。会見後にFMHの株価が急落したことには、いろいろな要因が関係しますが、北尾氏の宥和策が成功すれば、株価が今よりも上がる要素がなくなり、利確を急いだ株主が多かったのでしょうが、ホリエモンに対する期待の大きさとも見られています。堀江氏の改革への関与を望む声は根強いようです。

堀江氏の反応:リスト外でも意欲は健在

堀江氏は、4月18日朝のYouTube動画(「ホリエモンチャンネル」)で、北尾氏の会見に応答。リスト外ながら、フジテレビ改革への意欲を次のように語りました。

1. ダルトンのリストに含まれず

堀江氏は、ダルトンの取締役候補リストに自身が含まれなかったことを確認。視聴者から「期待していたのに」との声があったものの、「私がリストに入るとハレーション(過剰な反発)が起きる」との理由で外されたと推測。2005年のライブドア事件の記憶が、FMHの社員や株主に反発を招くリスクが背景にあると考えます。

2. メディア事業再編への意欲

不動産事業には興味がなく、フジテレビのメディア事業の再編に注力したいと表明。アニメや「ガチャピン・ムック」などのIPを活用した再建に可能性を見出し、東宝ゴジラ)やフィールズ(ウルトラマン)の成功例を挙げます。「北尾氏のグループと連携して、機会があればお手伝いできれば」と、将来的な関与に意欲的です。

3. フジテレビの課題と北尾氏への共感

北尾氏の「ホワイトナイトは誤りだった」との謝罪を歓迎。フジテレビの衰退が日枝氏の長期政権と不動産依存によるものと同意し、「メディアで稼いだ金を安易に不動産に投資する」との構造的問題を批判しました。

4. 清水社長への評価

北尾氏が清水社長を評価している点に触れ、堀江氏も「かなりの人物」と認識。会社側と協力できれば、再建がスムーズに進むと楽観視します。

5. 株主としての姿勢

FMHの株主である堀江氏は、株価の急騰・下落にも関わらず保有を継続。6月の株主総会で「最も良い形での株主提案」に投票する方針を示し、北尾氏やSBIとの連携を強化する姿勢です。

6. ダルトンとSBIの違い

ダルトン村上ファンドは株価上昇後の「売り抜け」を狙うと分析。一方、SBIは事業の長期的な再建を目指すと評価。SBIが堀江氏のインターステラテクノロジーズに出資する関係もあり、今後も協業を進めたいと語りました。

ホリエモンは北尾構想に含まれる?社長への道は?

現時点で、堀江氏はダルトンの取締役候補リストに含まれていません。しかし、北尾氏が「堀江君の能力を生かしたい」と高く評価し、SBIと堀江氏の既存の関係(インターステラテクノロジーズへの出資)を考えると、将来的に北尾氏の構想に関与する可能性は十分あります。

北尾氏の「外部人材登用」や「コンテンツ強化」は、堀江氏の強み(メディアとネットの融合、デジタルコンテンツの知見)と一致。堀江氏もIP活用やメディア事業再編に意欲的で、北尾氏のビジョンとシナジーを生む余地があります。では、なぜ現時点で堀江氏が候補でないのでしょうか?

  • ハレーションの回避ライブドア事件の記憶から、堀江氏の登用がFMHの社員や株主に強い反発を招くリスク。ダルトンもこの点を考慮し、リストから外したと堀江氏が推測します。
  • 段階的な戦略:北尾氏は清水社長の留任を支持するなど、改革と安定を両立させています。堀江氏をいきなり登用せず、株主総会後に顧問やコンテンツ戦略担当など非公式な役割で関与させる可能性があります。
  • 株主総会の結果待ち:6月の株主総会ダルトンの提案が通るか不透明。北尾氏は状況を見極め、堀江氏の関与のタイミングを戦略的に選んでいるかもしれません。

堀江氏がフジテレビ社長になる道は、現時点では遠いかもしれません。しかし、北尾氏の構想に何らかの形で関与し、コンテンツやデジタル分野で影響力を発揮するシナリオは現実味を帯びています。

今後の注目ポイント

北尾氏の会見と堀江氏の反応は、フジテレビ改革の新たな一歩です。北尾氏はガバナンス改革とコンテンツ強化でフジの「らしさ」を取り戻そうとし、堀江氏は株主としての影響力とメディアの知見を活かして貢献する構えです。

6月のFMH株主総会は、ダルトンの提案と現経営陣の対立の決着点。北尾氏が取締役会で影響力を握れば、堀江氏が顧問や子会社役員として関与する可能性が高まります。フジテレビが不動産依存を脱し、IPやデジタルコンテンツで高収益企業に生まれ変われるか、北尾氏と堀江氏の動向から目が離せません!

次回の展開もお楽しみに!