加藤一二三九段の生涯
将棋界に輝く星として、数々の伝説を残した加藤一二三九段。神武以来(じんむこのかた)の天才と呼ばれたその軌跡は、若き日の快進撃から晩年の人気者ぶりまで、将棋ファンならずとも心を捉えます。今日は彼の人生を振り返りながら、偉大な功績を振り返ります。
①加藤一二三九段の略歴
加藤一二三九段は、1940年1月1日、福岡県嘉麻市に生まれました。名前の由来は、元旦生まれで日本の皇紀2600年にちなみ、三男として「一二三」と名付けられたそうです。小学校4年生の時に新聞の将棋観戦記と詰将棋に魅了され、将棋の道を志しました。1951年に南口繁一九段門下として関西奨励会に入会し、1954年8月、14歳7ヶ月で四段に昇段。当時史上最年少のプロ棋士となり、史上初の中学生棋士として注目を集めました。この記録は、2016年に藤井聡太棋士が更新するまで62年間保持されていました。
その後、毎年順位戦で昇級を続け、1958年4月には18歳3ヶ月で八段に昇段し、A級へ到達。「神武以来の天才」と称賛されました。1973年には九段に昇段。棋風は居飛車党を貫き、定跡の発展に大きく貢献しました。タイトル獲得は名人1期、十段3期、王位1期、棋王2期、王将1期の計8期。通算対局数は2505局で歴代1位、勝利数は1324勝で歴代4位を記録しました。2017年6月20日、77歳で引退するまで、現役勤続年数62年10ヶ月という史上最長記録を打ち立てました。
【訃報】“ひふみん”加藤一二三さん死去 『アウト×デラックス』などバラエティーでも活躍 紅白審査員もhttps://t.co/JzkJGcieqp
— オリコンニュース (@oricon) January 22, 2026
“ひふみん”の愛称でおなじみの元プロ棋士・加藤一二三さんが22日、肺炎のため亡くなった。86歳。愛嬌たっぷりのキャラクターで、バラエティー番組などでも親しまれた。 pic.twitter.com/zaXTZb4cDY
2026年1月22日、肺炎のため東京都内の病院で86歳で亡くなられました。将棋界に多大な影響を与えたレジェンドとして、永遠に記憶されるでしょう。
②大山康晴十五世名人との闘い
加藤九段のキャリアで欠かせないのが、大山康晴十五世名人との激闘です。大山名人とは通算125局対局し、加藤九段の46勝79敗という成績を残しています。これは将棋史上8位の同一対戦カード記録です。
1960年、20歳の加藤九段は名人戦で初挑戦。大山名人に1勝4敗で敗れましたが、若き天才の台頭を印象づけました。1968年の第7期十段戦七番勝負では、崖っぷちの状況で大山十段に逆転勝利し、初タイトルを獲得。7時間の長考で発見した▲6二歩という会心の一手が有名です。また、1979年のNHK杯では、詰まない自玉を3手詰みにされる大逆転劇が発生し、将棋史に残る大ポカとして語り継がれています。
大山名人の受けの強さに苦しみながらも、加藤九段は試行錯誤を繰り返し、自身のスタイルを確立しました。これらの対局は、加藤九段の粘り強さと天才性を象徴しています。
③名人位への道
加藤九段の最大の目標は名人位獲得でした。1960年に20歳で初挑戦するも、大山名人に敗北。以降、数度の挑戦を繰り返しました。1982年、第40期名人戦で中原誠十六世名人に挑み、4勝3敗1持将棋2千日手という実質十番勝負の末、42歳で悲願の名人位を獲得しました。これは初挑戦から22年後の快挙で、加藤九段の不屈の精神を示しています。
名人位は1期のみでしたが、タイトル登場回数は24回に及び、将棋界のトップクラスで長年活躍しました。名人戦での戦いは、加藤九段の精密な読みと大局観を証明するものです
④数々のエピソード
加藤九段は、将棋の実力だけでなく、個性的なエピソードでファンを楽しませました。健啖家として知られ、対局中のおやつに板チョコを8枚から10枚まとめてバリバリ食べる姿は伝説です。米長永世棋聖と分け合って食べた話や、ミカンを大量に食べる対決も有名です。
- 対局中の昼食・夕食にいつも「うな重」を注文。40年以上続け、頭を回復させるためだそうです。
- 王位戦で寿司、天ざる、果物、ケーキなどを大量注文し、対戦相手を驚かせました。
- みかんゼリーを10秒で平らげたり、カルピスを魔法瓶2本分飲み干したりする大食漢ぶり。
- 負けられない対局でもチーズを食べまくり、集中力を保っていました。
これらのエピソードは、加藤九段のユニークな性格を表し、将棋界の魅力を広めました。
⑤現役引退後のタレント活動
2017年の引退後、加藤九段は「ひふみん」としてタレント活動を本格化。ワタナベエンターテインメントに所属し、バラエティ番組に多数出演しました。独特の早口と天然キャラが人気を呼び、「ひふみん」は2017年の新語・流行語大賞トップテン入り。テレビ出演が増え、引退前の3倍の仕事量で4キロ痩せたエピソードも話題です。
「アウト×デラックス」で歌手デビューし、NHK紅白歌合戦の審査員を務めました。2022年には文化功労者に選出され、将棋普及に貢献。引退後もお茶の間を沸かせ、将棋の認知度を高めました。
⑥まとめ
加藤一二三九段は、将棋界の歴史を彩る偉大な棋士でした。若き天才から、苦闘の末に名人位を掴み、引退後も愛され続ける存在へ。数々の記録とエピソードは、後世に語り継がれるでしょう。彼の情熱は、将棋を愛するすべての人に勇気を与えました。加藤一二三九段、ありがとうございました。。
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