ふきんとうだより

フォーク、藤井聡太、宮沢賢治、佐々木朗希、石川優子についてつらつら語ります

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さだまさしと吉田政美が語るグレープ その3

2023/2/11にNHK-R1で放送された「グレープ ありがとうラジオ」から

今日はその3回目です。

吉田トレモロ

江崎 さださんのコンサートに吉田さんがゲストとして参加してね、それで「精霊流し」をされたことはあったけれども、今回グレープですって言って、演奏されるのはやっぱり違うんですか?

さだ 吉田が僕のコンサートにゲストで来てくれて、何曲かやる時の精霊流しは僕、バイオリンなんですよ。だから吉田のギターソロで精霊流しをやるっていうのは本当にね。何年ぶりだろうってぐらいで。実際にバイオリン弾かない精霊流しとかあんまりないんですよね。ぼくがバイオリン弾かない精霊流し。あの「新自分風土記」っていうアルバムを作った時に、パイプオルガンとコーラスでやったことあったんですけど、(それ以外は)ほとんどバイオリン弾いてるんでね。吉田のギター、新鮮だったですね。

吉田 本当に、私の記憶力ですから、あなたがよく知っているようにあてにならないですが、なんかね僕ね、この前思ったんだけど、トレモロって、そもそもやってる人なんかいないじゃないですか」

さだ あんまりトレモロでメロディーを弾くギタリストはいないけどね。非常に珍しい存在だよね。

吉田 それで、思ったのは(これで)精霊流しかなみたいな。だって「雪の朝」にはトレモロないからさ。

さだ 精霊流しだね。グレープ時代は僕がバイオリン弾くと、二人しかいないんで吉田がずっとサイドギター弾くことになるでしょう。だからそれだとね、吉田のギター聴けないんで。僕がギターに回ると、メロディーは吉田が担当するっていう形だったんで、グレープ以来だね。やっぱりバイオリンのイメージを出すのにトレモロがいいと思って、吉田がトレモロにしたんだろうね。

吉田 間違ってたらごめんだけど、精霊流しだろっていう。でいいかな。

さだ まあそうだね。

 

吉田さんのトレモロがグレープらしさを醸し出しているという
二人の共通した認識がすごいですね。

 


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「グレープセンセーション」リリース

江崎 いや、その精霊流しも入っているニューアルバム。今月(2023/2月)15日、「グレープセンセーション」としてリリースされるんですね。

さだ ありがとうございます。よくできたと思いません? あの私、この前11月、なんとなく作ろうかなっていうお話をしたじゃないですか。でね、まだできてなかったんですよね。曲がね。この前、NHKで大々的に放送してくださった中ではね。できてなかったんですよ。それからかろうじて二曲当日に間に合わせましてね。

江崎 えっ、ちょっと待ってください。

さだ ええ、当日に間に合わせたというのは、11月3日に二曲あったんです。

江崎 当日間に合わせた曲が?

さだ 素晴らしいですね。で、あのやっぱり初めてグレープを聴くっていう方も多いんですよね。あの若い方なんかグレープ聞いたことない方が多いので、やっぱりレコード会社のスタッフなんかは代表曲はちょっと入れてよって言うので、精霊流し、無縁坂、縁切寺って三曲をセルフカバーでやり直すことが決まってたんで、二曲オリジナルがあるってことはあと五曲でいいわけですよ。オリジナルがね、はい。これをだから1月7日までに完成させたんですね。五曲を。よくできたなって自分で言ったら、スタッフがもっとよくできたなって思ったと思いますよ。

 

ギリギリで間に合った曲を披露したという話に、江崎アナはびっくり。
まあ、さださんは百戦錬磨ですからね。

さだまさしを脱ぎ捨てる

江崎 やはりどうでしたか?だってお二人で歌作りとかレコーディングするのって半世紀ぶりでしたっけ?

さだ レーズンっていう名義で、前に1度アルバムを作ったことがあるんです・・・
どっちかっていうと、さだまさしよりのグレープだから、吉田がさだのサポートするって感じのグレープだった。だからレーズンだった。

江崎 そうなんですか?レーズンの「糸電話」あるじゃないですか。

さだ 江崎さんすごいね。あの曲知ってるの?

江崎 知りすぎてるというか。さっきまでディレクターと話してたんですけれども、あの曲は吉田さんのソロの部分もあり、ハモリもありなので。でも今回の新作は違うんですか?

さだ だいぶ違いますね。やっぱりどっちかっていうと、さだまさしカラーが強いのがレーズンだったんですけど、今回僕はさだまさしを極力全部脱ぎ捨てましてね。もうグレープの自分を呼び出すのに、だから結構時間かかりましたね。ですから結構グレープですよ。今度のアルバム「グレープセンセーション」は。

江崎 さださんがさださんご自身を脱ぎ捨てるのって大変じゃなかったですか?

さだ うん、まあでもそうでもないです。もともとがグレープだったんで。さだまさしの歌を作るっていうのがね、世界でいちばん嫌なんですよ。僕、面倒くさいんですよ。まあ聴き手も。

 

 

オフコースがうらやましくて仕方なかった

江崎 今回、特に作る上で印象に残った曲ですとかありますか?

さだ それぞれ面白かったですよ。吉田のソロをやっぱり聴きたかったし、ではハモもやらなきゃいけなかった。昔はね、グループでハモらなかったんですよ。僕は声が細くてね、高いでしょ。吉田は太くて低いから。ちゃんとハモってるのに、融合はしてないんですよ、解けないんですよ。

吉田 本当、混じらなかったもんね。当時は、あのオフコースが、もううらやましくてしょうがなかった。

さだ オフコースの小田さん、鈴木さんのあの美しさね。僕らのジョイントコンサートやってますからね。オフコース・グレープジョイントコンサート、北海道で5ヶ所。うらやましかったね。歌うまいしね。あの二人はまた。

吉田 だからレコーディングでね、僕らがハーモニーなんかやると、ほとんど喧嘩になりそうですよ。

さだ お前が悪い状態で。でもね、僕の声が太くなり、吉田が、カラオケをやったかどうか知りませんけど、歌が上手くなり、僕がギターうまくなりでだいぶグレープは進化してますね。レーズンでやっとね、ハーモニーが結構馴染んできたねっていう。そうだね。だからグレープ時代でハモってる曲っていうと、江崎さんの好きな「殺風景」。うん、あれなんかはね、ちゃんとハモってないですよ、今聴くと。聴いてみます? 

江崎 そうですね。じゃあ、まずですね。そのハモっている曲。それから二人のソロが聴ける曲ということで「歌づくり」、そして「夢の名前」を。聴いて下さい。

さだ わかりました。

 

さださん、吉田さんが二人とも「オフコースの小田さん、鈴木さんが
きれいにハモっているのが、うらやましかった」というあたりが、正直だなあ。
オフコースもなかなかヒットが出なくて、悩んでた時期でしょうね。
ただ、きれいにハモっていても、解散後全く共演しないオフコース
最初はうまくハモれず、けんかしていたグレープが、
今はお互いを尊重し合って、再結成している。
人生ってほんと、わかりませんよね。