ふきんとうだより

ふきのとう、フォーク、宮沢賢治、石川優子についてつらつら語ります

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藤井聡太と羽生善治の対談 NHKで実現 (4)

将棋の道は、果てしなく続く旅路のようなものです。一手一手に込められた情熱が、世代を超えて受け継がれる姿に、心が揺さぶられます。2025年11月29日放送のNHK EテレETV特集 藤井聡太羽生善治 対談 一手先の世界へ」は、そんな継承の物語で完結しました。放送から2週間近く経ち、ファンの感動が広がっています。当サイトでもこれまで3回に分けて内容を紹介してきました。

第1部は二人の出会いからNHK杯の舞台裏、渡辺謙さんの「無」の境地までを語り、精神性を探りました。

 

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第2部は昭和の名局「5二銀」や羽生ブーム、負けの向き合い方を深掘り。

 

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第3部は角換わりの魅力、AI研究の深み、4五桂の分析、面白い将棋の追求、先後手の究極を議論しました。

 

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第4部では米長邦雄永世棋聖のエピソードを中心に、将棋の伝統と未来を描きます。最新情報として、2025年12月12日現在、藤井六冠は12月11日の銀河戦決勝トーナメント2回戦で服部慎一郎七段に勝利し、準々決勝進出を決めました。羽生九段は12月10日の順位戦B級2組で村山慈明八段に勝利し、連勝を伸ばしています。これらを交え、対談のハイライトを引用とコメントでお届けします。

米長邦雄の泥沼流と道場:若手への継承

第4部は、米長邦雄永世棋聖の人生から始まります。泥沼流の逆転術と、タイトル喪失後の大胆な行動が描かれます。

ナレーション: 昭和から平成にかけてトップに君臨したスター棋士米長邦雄。混戦からの逆転を得意とする泥沼流で四冠にも輝いた。しかし40代に入ると、終盤が強い米長に対して若手は序盤を徹底的に研究。勝率は下がり、全てのタイトルを失った。追い詰められた米長は思い切った行動に出る。若手の棋士を自宅に集め、最新の戦術を一から学び始めたのだ。「米長道場」と呼ばれたこの研究会には、プロになって6年目、B級に昇格したばかりの羽生の姿があった。

米長邦雄九段(過去の映像): その時に僕は、彼の将棋をお手本にして自分の将棋を作り直しましたんでね。それでA級の座も保ったし、ですから僕の本当の師匠さんといえばお師匠さんなんです。

ナレーション: ね。それから3年半、米長は49歳で初めて名人を獲得。しかしここが栄光のピークだった。54歳の時にはA級から陥落する危機に追い込まれた。

米長先生の「泥沼流」は、粘り強さの象徴です。タイトル喪失後の道場開設は、若手への無償の指導として感動的。羽生九段がプロ6年目で参加していたとは、意外なつながりです。そして、最新情報では羽生九段が伊藤匠二冠と研究会を始めた模様。まさに米長流です。

3五銀の名局:崖っぷちの激闘

米長先生と羽生九段の順位戦が再現されます。3五銀の勝負手が焦点です。

ナレーション: そして迎えた順位戦、まさに崖っぷち。7戦目の相手は羽生だ。対局の中盤、米長は渾身の勝負手を放った。3五銀。貴重な銀を打ったのは羽生の玉から一歩離れた位置。しかもこの一手で羽生の角が攻撃に参加できる。一見不利に見えるが、ある狙いがあった。

米長邦雄九段(過去の映像): 角が成ってくるような気がしましたね。それで角が成った瞬間に、将棋そのものは勝ちになって、あとは自分が間違いさえしなければと。

ナレーション: 羽生は米長の読み通りに角を成り込んだ。米長は3五銀を拠点に歩を打ち込む。羽生の表情が変わった。羽生が投了した。14時間に及ぶ激闘だった。順位戦の最終結果はA級からの陥落。しかし米長に悔いはなかった。

米長邦雄(過去の映像): まあ、自分なりに頑張ったなという気がしますね。でも今日の将棋もやっぱりなんと言っても羽生の将棋ですね。あの3五銀ですよ。

3五銀は、米長先生の読みの深さを示す名手です。羽生九段の角を誘う狙いが巧妙で、14時間の戦いは将棋の醍醐味。米長先生の「悔いなし」の言葉が胸を打ちます。藤井六冠の銀河戦勝利も、こうした先人の粘りを思い起こさせます。初心者の方は、この局を棋譜で追ってみると、興奮が伝わるでしょう。

米長の挑戦:ソフト対戦と生涯の情熱

米長先生の晩年が語られます。

ナレーション: 盤上の勝負に終わりはない。68歳の時、急速に力を付けてきた将棋ソフトと対戦。同じ年に亡くなるまで自らの可能性に挑み続けた人生だった。

司会: 羽生さん、どんな風にご覧になりましたか?

羽生善治九段: そうですね、すごい懐かしい感じがしました。米長先生、自宅を開放されて、道場を作られて、自分の近い年代、40代、50代の棋士の人たちは、結構みんな米長先生の道場に行って、将棋を教わったり勉強したりっていう、そういう場所を作っていただいたというところでも、すごいありがたいなと思っています。

藤井聡太六冠: 私は自分より若い棋士の将棋をお手本にそれを一度解体して作り直すというのはなかなか難しい決断でもあったかなと思いますけど、普段の将棋に対する真摯な姿勢というのがそういう決断につながったのかなとも感じました。

司会: 米長さんは亡くなる直前まで挑戦をされていましたけども、羽生さんはどうでしょうか。

羽生九段: そうですね。あのなんて言うかいろんな先輩とか大先輩の姿を見てきてやっぱり60代とか70代をどういうふうに過ごしていくのかって結構すごい重いテーマというか難しいテーマだとも思ってはいます。米長先生だけじゃないんですけど大先輩のいろんな人たちの姿を見てきてその積み重ねがやっぱり今日の将棋界ってあるんだなっていうのは結構すごい実感としてあるんですよね。だからやっぱりそういう気持ちっていうかなんて言うかわからないですけど情熱というかそういうものも自分自身も引き継いでいけたらなとは思っています。

米長先生のソフト対戦は、AI時代への先見を示します。羽生九段の感謝と、藤井六冠の「解体と再構築」の分析が深い。羽生九段の60代への思いは、自身のキャリアを振り返るもの。12月10日の勝利は、この情熱の表れです。将棋は生涯学習の場だと実感します。

将棋とは何かを問う:色紙の言葉

対談のクライマックス、「将棋とは何か」という質問です。

司会: 本当に今回お二人にいろいろなことを伺ってきましたけども、今お二人にとって将棋とは何ですか?お手元に色紙を用意しましたので書いていただけますでしょうか。では見せていただきましょう。お願いします。藤井さんは?

藤井六冠: 私は「ゲーム」と書きました。羽生九段の将棋はゲームだという言葉もありましたけど、本当に将棋というのはすごく難しい、本当に難しいゲームで、今の時点ではまだまだ全然理解できていないというふうに感じることが多いのでやっぱりそれが少しずつあっても強くなることで理解が深まってまた将棋の可能性であったり今までと違った景色というのをその盤上において見られるのではないかという

羽生九段: 「道」でゴールがないっていうかあるのかもしれないですけどたどり着けないとかそういう意味で書いてます。あと脈々と続いていくっていう感覚がすごい近いかなというイメージでこれからも続いていってほしいっていう気持ちも込めて書きました。

藤井六冠の「ゲーム」は、難しさと可能性を表し、羽生九段の「道」は無限の旅路を象徴。対談のテーマを凝縮しています。将棋の魅力を再確認です。

子どもたちとの交流:未来へのバトン

エンディングは子どもたちとの軽やかなやり取り。

ナレーション: 勝負に熱中する子どもたち。将棋という果てなき道はこれからも続いていく。

司会: 藤井さんか羽生さんに聞いてみたいことある? 将棋の悩みとか

子供: 好きな戦法。

司会: 何が好きなのかな?

子供: 棒銀

司会: もし棒銀嫌いって言ったらどうしますか?

子供: 棒銀を勧める。

司会: 将棋をやっている中で一番嬉しい瞬間っていうのは何ですか

羽生九段: か。そうですねまあでも良い手を見つけられた時ですかね。なんか確信を持ってこれが良い手だって分かる時あるんですけどそれは嬉しい時ですね。

藤井六冠: 私も全く同じ回答しようかと思っていました。難しい局面でいろいろ考えてこの手がいい手なんじゃないかなと毎回あるわけではないんですけどそれだけにそういう感覚を得られたときは確かに嬉しく思います。

司会: 好きな戦法は何でしょうか

羽生九段: 好きな戦法は横歩取りっていう作戦があるんですけどそれが好きですね。

司会: じゃあ棒銀を勧められるかも知れないですね。

羽生九段: 棒銀ーーうーん、考えます。

司会: 羽生さん考えてくださるそう

羽生九段:

藤井六冠: です。

子どもたちの無邪気さが微笑ましいです。二人の「良い手の発見」が嬉しい瞬間という共通点が、将棋の喜びを共有。未来へのバトンが感じられます。

この第4部でシリーズは完結しました。全4部を通じて、二人の対談は将棋の歴史、AIの影響、精神性、継承を描き、ファンに深い感動を与えました。2025年の最新対局のように、二人の活躍が将棋界を照らし続けます。

将棋は、人生を豊かにする鏡です。この対談が、あなたの日常に新しい一手を加えてくれることを願っています。シリーズを通してお読みいただき、ありがとうございました。コメントで感想をお待ちしています。