将棋の盤面は、歴史のページをめくるような不思議な力を持っています。一手が時代を変える瞬間を、二人の巨匠が振り返る姿に、胸が高鳴ります。2025年11月29日放送のNHK Eテレ「ETV特集 藤井聡太と羽生善治 対談 一手先の世界へ」
今夜再放送 #ETV特集
— NHK「ETV特集」公式 (@nhk_Etoku) December 3, 2025
「#藤井聡太 と #羽生善治 #対談 一手先の世界へ」
藤井聡太と羽生善治。
対局の舞台裏から進化するAIへの本音まで…
2人が目指す境地に迫る。https://t.co/eKbMwkW3Co
3日(水) 深夜24時【4日(木)午前0時】 #Eテレ pic.twitter.com/0NCbEOnTnz
そのハイライトを4回に分けてお伝えしていきますが、今回の第2部は、そんな感動を呼び起こす内容でした。昭和の名局から現代のAI活用まで、将棋の変遷を紐解く3時間超の対談。放送直後からファンの間で話題沸騰です。第1部では二人の出会いやNHK杯の舞台裏を振り返りましたが、第2部はより歴史的な深みを加えています。まずは第1部のまとめを簡単に。第1部では、2017年の初対局から29連勝の心境、渡辺謙さんの質問による「無」の境地までを語り合い、対局の精神性を探りました。詳細はこちらの記事でどうぞ。さて、第2部では往年の名勝負を振り返りながら、将棋の哲学を掘り下げます。対談のハイライトを引用とコメントでお届けします。
昭和の熱戦:迫力の先輩棋士たち
第2部は、昭和将棋の熱気を呼び起こす映像からスタート。森雞二九段の自信たっぷりの挑発や、中原誠十六世名人と米長邦夫永世棋聖の名局が紹介されます。
ナレーション: 昭和の時代、将棋は国民的娯楽として人気を誇り、街頭解説には多くのファンが詰めかけました。…棋士たちはあらゆる手を尽くして勝ちにこだわりました。
司会: 羽生さん、ああいう方々と直接対局されたときに何か感じることはありますか?
羽生善治九段: そうですね。やはり大先輩の先生方は、雰囲気からして迫力のある先生も多かったですし、座るとすごく気迫を感じることも多かったです。
藤井聡太六冠: お互いすごい迫力というか、盤上だけじゃなくて人生観のぶつかり合いのようで、本当に映像でも迫力を感じました。改めて見るとかっこいいなと思います。
この部分で、将棋が単なるゲームではなく、人生の鏡であることを実感します。羽生九段の言葉から、ベテランの気迫が若き日の刺激になった様子が伝わってきます。2025年の今、羽生九段の通算1600勝達成は、そんな先輩たちの遺産を継ぐ証です。私も映像を見ながら、街頭解説の賑わいが懐かしく、将棋のルーツに触れた気分になりました。初心者の皆さん、こうした歴史を知ることで、現代の対局がより深く楽しめますよ。また、森雞二九段の挑発は、現在の将棋界ではまず聴かれなくなった内容ですので、少し引用しておきます。
森雞二九段「いや、楽な相手ですね。相手の手の内はもうだいたい分かってるわけですよ。647局になりましたかね。全部調べましたよ。結果、要するに中原さんは強くないという結論に達したわけですよ」自信満々で挑むも、結局2勝4敗で敗退しました。
伝説の一手:「5二銀」の鮮烈な記憶
続いて、1988年NHK杯準々決勝、18歳の羽生五段対加藤一二三九段の名局。羽生九段の「5二銀」が焦点です。藤井六冠が大盤で解説します。
藤井聡太六冠:
ここでまず5三歩と大手で金を取って……この局面は、先ほどの「受けるか攻めるか」という方針の分岐点で、なるべくリスクの少ない手を意識するので、私だったら例えば香車を捨てて飛車取りに打つような受けの手段も考えるところです。でも羽生九段は受けの手ではなく、5二銀という非常に鮮烈な攻めの一手を選択されました。これで金でも飛車でもどちらでも取れるんですが、どちらを取っても1四角と王手して、4二玉と逃げたときに4一金と金を打つと、先ほど5二に打った金の効果で玉が5二に逃げられず、これで詰んでいるという形です。私自身も子どもの頃にこの一手を見て非常に印象に残っていますが、本当に鮮やかな一手だったと思います。羽生九段: あのときは解説が米長先生で、解説室で叫んでたんですよね(笑)。
藤井六冠の解説は、子どもの頃の憧れを反映していて心温まります。この「5二銀」は、羽生マジックの発端として将棋史に刻まれています。加藤九段の早指しの強さを逆手に取った一手は、現代のAI分析でも高評価。羽生九段のエピソードがユーモアを添え、堅苦しくないのが魅力です。藤井聡太六冠は「自分はリスクの少ない手を選ぶ」とコメントしていますが、実際には、終盤緩めたりせず、全く妥協しないという意味で、全盛期の羽生九段と似ていると感じます。
羽生ブームの原点:「将棋はゲーム」の真意
羽生九段のプロ入りからブームの軌跡を振り返り、森内俊之九段のコメントも交えます。「将棋はゲーム」という言葉の背景が明かされます。
ナレーション: 羽生は言い切りました。「将棋はゲーム。単純に強い方が勝つ」。この考え方は波紋を呼びました。…羽生は批判的な声を実力でねじ伏せ、最年少記録を次々と樹立し、七冠を達成しました。
森内俊之九段: 実力で羽生さんの価値観を浸透させていったというか。
羽生九段: 遊んだり違うことをしたり、いろんな経験を積むことも大切なんですけど、それを言い訳にしてはいけないと思ってるんです。…今振り返っては若気の至りだと思います。
藤井六冠: 私はどちらかといえば直線的に読みを進めていく方で…羽生九段の棋風はどちらかというと曲線的で…そういう違いが面白いと感じます。
羽生九段の率直な告白が、伝説の裏側を照らします。当時の波紋は、将棋界の革新を促しました。
AI時代の実像:人間の感覚の価値
現代将棋の鍵、AIについて本音トーク。情報共有の重要性を強調します。
羽生九段: 今の時代はAIでどんな小さな子でも調べれば「この局面はこういう手がいい」と分かる環境ですよね。でも人間じゃないと教えられないことはあると思います。
藤井六冠: AIの示す情報を活用しつつ、それをどう解釈して自分の感覚・考え方に取り入れていくかが難しいプロセスで、そこに関しては今までと変わらず、人間ならではの感覚や考え方が有用になることも多いんじゃないかと思います。
AIの台頭を認めつつ、人間らしさを守る姿勢が印象的です。羽生九段のパソコン活用の歴史が、現代の研究文化の基盤。藤井六冠の言葉は、AIをツールとして活かすバランスを教えてくれます。2025年の将棋界では、AIが標準ですが、二人のように「解釈」の力が差を生みます。ファンとして、こうした議論が将棋の未来を明るく照らしていると感じます。
勝負師の素顔:羽織から見えるメンタル
呉服店主のエピソードで、対局後の心情を垣間見ます。安定の秘訣を語ります。
白滝悟郎氏: 藤井先生はいつもすごく丁寧に畳んでくださいます。勝っても負けてもニュートラルで、気持ちがすごく安定されているんだなと思います。
藤井六冠: 負けを受け止めるのはやはり難しいプロセスですが、勝っても負けても同じようにやることで、むしろ気持ちが落ち着いてくるんじゃないかと考えています。
羽生九段: 将棋の対局って長いじゃないですか。だから正の感情も負の感情も長く続きやすいんですよね。…結局秘訣はない気がします。
藤井六冠の12勝1敗の羽織エピソードは、縁起物以上のメンタルシンボル。負けの「じわじわ」感は共感を呼びます。羽生九段の「秘訣なし」は、ベテランの本音。11月23日のJT杯優勝(藤井六冠)のように、こうした安定が勝利を支えます。私生活のヒントにも:日常の失敗を「同じように」受け止めてみては?
仕事か遊びか:オンオフの曖昧な世界
渡辺謙さんの質問で締めくくり。将棋を「仕事」としてどう捉えるか。
渡辺謙: お二人も対局の日に盤の前に座ったとき、それを「仕事」と感じたことはありますか?
羽生九段: 普通の人はオンとオフがはっきりしてると思うんですが、僕らは線引きがすごく曖昧な世界でずっと暮らしています。
藤井六冠: 半々くらいかなと思います。…やっぱり子どもの頃からずっと同じことを楽しんでできたらいいなという感覚が強いので、そういう点で半々というのが近い気がします。
将棋が生涯の伴侶であることが伝わります。曖昧さが創造性を生むのでしょう。藤井六冠の純粋さと羽生九段の経験が融合した答えです。
第2部は、過去と未来を繋ぐ対談でした。3時間超の全貌は必見ですが、今回はここまで。シリーズ第3弾では、未公開エピソードや視聴者反応を予定。次回をお楽しみに!
将棋の魅力は、一手ごとに広がる可能性にあります。この対談が、あなたの日常に新しい一手を加えてくれれば幸いです。コメントで、好きな名局を教えてください。