第一局は4/11(火)
叡王戦は、不二家および日本将棋連盟主催の棋戦で、タイトル戦のひとつです。2015年度にドワンゴ主催で一般棋戦として第1期が開始され、2017年度の第3期からタイトル戦に昇格した一番新しいタイトル戦です。第8期叡王戦挑戦者決定戦では、菅井竜也八段が永瀬拓矢王座に勝利し、初の五番勝負への進出を決めました。藤井聡太叡王との五番勝負は第1局が4月11日(火)に東京都千代田区の「江戸総鎮守 神田明神」で行われます。ABEMAでライブ配信されます。
ここまでの両者の歩み
藤井聡太叡王に菅井竜也八段が挑戦することになった第8期叡王戦五番勝負。両者はタイトル戦では初の顔合わせとなります。菅井は出口若武六段と同じ井上慶太九段門下で兄弟子に当たり、2年連続で井上一門の棋士を挑戦者に迎えることとなりました。
藤井聡太叡王は昨年叡王を防衛し、以降棋聖、王位、竜王、王将とすべて防衛し、さらには棋王も奪取し、現在名人戦の最中と、史上最強棋士への歩みを確実に進めています。弱冠20歳の若さながらタイトルは既に13期で、いまだに番勝負は負けなしです。
菅井竜也八段は2010年に17歳で四段昇段し、得意の振り飛車を駆使して高い勝率をあげる活躍を見せています。2017年の第58期王位戦でタイトル初挑戦を決めると、羽生善治王位 (当時)を4勝1敗で破り初タイトルを獲得しました。
今回の見どころ
タイトル戦を多く戦っている藤井聡太叡王ですが、振り飛車党を挑戦者に迎えるのは今回が初めてです。近年は角換わりや相掛かりのAIによる研究に沿った勝負が多いのですが、菅井竜也八段の振り飛車は独創的なアイデアも多く、ねじり合いの力勝負が見られるでしょう。純居飛車党の藤井聡太対振り飛車宣言をしている菅井の対戦は対抗形になることは間違いないです。それで、菅井竜也八段がどんな振り飛車を指すのか、一方藤井聡太叡王がどんな対策を取るのかに注目できます。ここまで二人の対戦成績は藤井聡太六冠の5勝3敗。菅井竜也八段は対藤井聡太のすべての対局で振り飛車を採用。中でも中飛車が多いのが特徴です。
菅井竜也八段のツイート
応援ありがとうございました!
— 菅井竜也 (@0417tatuya) March 16, 2023
とりあえず良かったです。
最強の相手に、自分の振り飛車がどこまで通用するか分かりませんが、やるからには全力で戦います。
タイトル戦も応援してください。#振り飛車#菅井竜也
今回の予想
叡王戦五番勝負はチェスクロック使用の4時間と、タイトル戦では最も短い勝負です。藤井叡王の優位は揺るがないと見られますが、菅井が巧みな振り飛車の技でどれだけ翻弄できるでしょうか。対応の難しい展開に持ち込めば、菅井竜也八段にも十分可能性があります。藤井聡太叡王の強みは1敗したとしたも、それを引きずらないこと。それがここまでタイトル戦ですべて奪取か防衛という結果となって現われています。順当に行けば、3-1か3-2で藤井聡太叡王が防衛と見ます。ただし、藤井聡太叡王は名人戦も進行中で、二つのタイトル戦を並行して戦わなければならないのはきついでしょう。そのあたりの調整もかぎとなりそうです。勝敗よりも今回は久々の振り飛車シリーズになりそうなので、振り飛車復権のために菅井竜也八段にもがんばってほしいものです。