ふきんとうだより

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佐藤天彦九段 反則負けのち赤いバラ

マスク着用せず反則負け

事件は10/28に発生しました。将棋のA級順位戦で名人にも三期在位したことのある佐藤天彦九段が反則負けとなったのです。対局相手は永瀬拓矢王座。佐藤天彦九段がやや有利な局面で、読みに没頭するあまり30分マスクをしないということが2度あり、永瀬王座の申し立てによって反則負けという裁定になりました。

2022/2から、日本将棋連盟は、『対局中は(飲食をするときなどのように)一時的な場合を除き、対局者はマスクを着用しなければならない。この規定に反した場合は反則負けとする』という臨時規定を設けてきました。今回それが適用されました。永瀬王座はそれを関係者に指摘し、連絡を受けた佐藤康光会長と鈴木大介理事が協議し、佐藤天彦九段の反則負けという裁定を下しました。 いくつか注目したいポイントがあります。 規定を厳密に適用すれば、当然の決定なのですが、これまで適用されたことがありませんでした。 対局は中継されていたので、佐藤天彦九段がマスクをしていない状態は誰の目にも明らかでした。永瀬王座にもちろん非はありませんが、指摘しなければ問題にもならなかった可能性が高いです。 佐藤康光会長はA級に在籍する棋士であり、今回の裁定の影響を受ける立場にあります。

提訴

裁定に不服の場合は提訴できるので、佐藤天彦九段は正式に申し立てを行いました。ご自身のツイッターでも公表されていますので、誰でも見ることが出来ます。

申し立てのポイントは以下の通りです。
合計して1時間ほどマスクをしていなかったという事実は認め、反省している。
臨時の規定は故意のマスク不使用を防止するために規定されたので、過失による不着用を含まない規定と考えられる。それで、指摘を受けても着用しないなら故意の不着用であり、反則負けも妥当。同時に、何の注意もなく、順位戦の勝敗を決するのは、違反行為に対する処分として重すぎる。
現在、政府はマスク着用を強制すべきではないという方針を取っているのに対し、今回の判定はその方針に反している。
ほかにも、異議が申し立てられていますが、結論として以下の点を求めています。
1 反則負け判定の取り消し
2 対局のやり直し
3 臨時対局規定の適用基準の明確化、既定の趣旨に反するルールの修正
4 臨時対局規定の改廃時期・条件の明確化
そして、さらに
本対局において、自らの失念により対局相手に対して不安を抱かせるに至ったのであれば、私自身の注意不足、その至らなさ、配慮不足を痛感するところでございます。しかしながら、一棋士として、ただ盤面のみに全ての神経を集中させ、それ以外のことに意識が及ばないほどに懸命に盤に向き合ったこと、それ自体に関しては、どうしてもそれが間違っていることとは思えません。』とも述べています。

赤いバラがもたらした勝利

反則負けという裁定とその後の提訴は社会的にも大きな反響を呼びました。そして、佐藤天彦九段は11/3棋王戦で藤井聡太竜王と対戦することになるのです。いつもなら、藤井聡太竜王に圧倒的な声援が送られるのですが、今回は将棋ファン以外の人々も、佐藤天彦九段よ、反則負けのショックに負けるな!と声援を送ったようです。そんな中で、対局室に現れた佐藤天彦九段。何と赤いバラの花束を手にしていたのです。佐藤天彦九段のことを心配した「ふかえり」さんが対局に合わせて連盟に送られたのです。

結果は、佐藤天彦九段の勝利。提訴にかなり神経を使ったでしょうが、やはり盤面では将棋だけに没頭した模様です。そして、やはり赤いバラが勝利に大きく貢献しましたね。

今後の行方

再び協議が行われ、正式な裁定がなされますが、さてどうなるでしょうか。最初の決定が覆る可能性は低いと見ますが、規定の見直しにはつながるでしょう。そして、棋王戦の挑戦者決定トーナメントで次に佐藤天彦九段は羽生善治九段-伊藤匠五段の勝者と当たります。棋王戦には敗者復活がありますので、藤井聡太竜王が再び佐藤天彦九段と当たる可能性があります。しかも、何とA級順位戦でも佐藤天彦九段は藤井聡太竜王との対局があります!
最終決定とともに棋戦の進行からも目が離せなくなってきました。