ふきんとうだより

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【NLCS開幕】佐々木朗希に試練 スネル快投もブルペン冷や汗 ドジャースがブルワーズに先勝

ナショナル・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)が、ミルウォーキーの地で幕を開けました。10月13日(日本時間14日)に行われた第1戦、ロサンゼルス・ドジャースミルウォーキー・ブルワーズ2対1で下し、シリーズに先勝しました。

この試合は、一人の投手の「スターピース(傑作)」とも称される圧巻の投球、プレーオフ史に残るような珍プレー、そして日本人若き剛腕のまさかの乱調と、まさにポストシーズン特有のドラマが凝縮された一戦となりました。

「終始ヒリヒリした」とドジャース一塁手フレディ・フリーマン選手が語ったように、最後の最後まで目の離せない激戦のポイントを、詳細に振り返ります。


1. 究極の投球:ブレイク・スネルの「マスターピース

この試合の主役は、ドジャースの先発を務めたブレイク・スネル投手でした。彼は8イニングを投げ抜き、被安打1、無失点、10奪三振、無四球という、ポストシーズン史に残る支配的な投球を披露しました。

✅ 8回をパーフェクト級の投球で圧倒

スネル投手が許したランナーは、3回裏に許した先頭打者ケーレブ・ダービン選手へのヒット一本のみ。しかし、そのランナーも直後のプレーで牽制死となり、結果としてスネル投手は、8イニングで打者24人(規定の最少人数)しか対戦しないという驚異的な記録を達成しました。これは、1956年のワールドシリーズでドン・ラーセン投手がパーフェクトゲームを達成して以来の快挙に並ぶものです。

ブルワーズのパット・マーフィー監督が試合後、スネル投手の投球を絶賛するコメントを残しています。

また、決勝点となるホームランを放ったフレディ・フリーマン選手も、この投球を「傑作」と称えました。


2. 幻の得点機:センターフライから生まれた「史上初の珍プレー」

スネル投手の快投で投手戦が続く中、試合の流れを大きく左右する珍しいプレーが起こりました。4回表、ドジャースは一死満塁の絶好のチャンスを迎えます。打席にはマックス・マンシー選手。彼の放った打球は、センターフェンス際への大飛球となりました。

🤯 「8-6-2」のダブルプレー

ブルワーズのセンター、サル・フリーリック選手がジャンプして打球に触れ、ボールはフェンスに当たって跳ね返り、フリーリック選手のグラブに戻りました。この一連の動きが、ドジャースのランナーに大きな混乱を生みました。

審判は「ノー・キャッチ(捕球失敗)」、つまりインプレーと判定しました。しかし、ランナーたちはフリーリック選手が捕球したと誤認し、三塁走者だったテオスカー・ヘルナンデス選手はタッチアップの体勢で本塁へ向かうのが遅れました。

  • 混乱①: インプレーにもかかわらず、本塁へ向かうのが遅れたヘルナンデス選手は、送球によりホームでフォースアウト
  • 混乱②: さらに、捕手ウィリアム・コントレラス選手は、二塁走者のウィル・スミス選手が三塁へ進塁していないことを確認し、三塁へ走り込んでベースを踏み、スミス選手もフォースアウト

これにより、ドジャースは無得点に終わり、**ポストシーズン史上初**となる「**8-6-2のダブルプレー**」(センター→ショート→キャッチャーの送球で併殺)という記録が生まれてしまいました。


3. 9回裏の試練:佐々木朗希がリードを守れず

試合は8回裏までスネル投手がブルワーズ打線を完全に封じ込め、ドジャースが2-0でリード。9回表にはムーキー・ベッツ選手が押し出しの四球を選び、リードを2点に広げました。

そして9回裏、ロバーツ監督は前日の会見で「理想は1イニング」と語っていた通り、クローザーとして佐々木朗希投手をマウンドに送ります。しかし、この日は佐々木投手の制球が定まりませんでした。

💦 ピンチを招き降板

先頭打者を打ち取った後、佐々木投手はアイザック・コリンズ選手に四球を与えます。続くジェイク・バウアーズ選手にはライトのフェンスに当たるイムリ二塁打を打たれ、1点を献上(2-1)。さらにジャクソン・チューリオ選手を犠牲フライに打ち取りながらも、クリスチャン・イエリッチ選手にも四球を与えてしまいます。

二死一、三塁で、ロバーツ監督は佐々木投手を降板させ、ベテランのブレイク・トライネン投手に交代。この日は佐々木投手にとって、ポストシーズン初めて失点し、初めてセーブに失敗した苦いマウンドとなりました。

🗣️ 【選手のコメント】佐々木朗希投手の状態

試合後、佐々木投手は「ベストな状態ではなかった」と語りつつも、自身の投球内容を反省しました。


4. ベテランの意地:ブレイク・トライネンが何とか抑え、ドジャースの勝利

佐々木投手に代わってマウンドに上がったブレイク・トライネン投手でしたが、彼もまた一筋縄ではいきませんでした。

🔥 最後の打者を三振に

トライネン投手は、迎えた最初の打者ウィリアム・コントレラス選手に対し、四球を与えてしまい、まさかの二死満塁の大ピンチを招いてしまいます。

勝利か、同点か、それとも逆転か、球場全体のボルテージが最高潮に達する中、打席にはブライス・トゥラング選手。トライネン投手は冷静にカウントを整え、フルカウントからの速球でトゥラング選手を空振り三振に仕留め、ついにゲームセット。

トライネン投手がヒヤリとしながらも何とかリードを守り抜き、ドジャースが2対1でNLCS初戦を制しました。彼のこの土壇場での三振は、まさにベテランの意地と経験の賜物でした。


5. 今後の課題:ブルペンの信頼性

NLCS第1戦は、ドジャースにとって「最高の先発と、不安を残すブルペンという構図を改めて浮き彫りにしました。

スネル投手が8回まで投げ切ってくれたおかげで勝利を手にしましたが、もし彼が6回や7回で降板していれば、試合結果は大きく変わっていた可能性が高いです。

特に佐々木投手が締めくくれずに終わったことは、今後のロバーツ監督のブルペン運用に影響を与える可能性があります。彼のクロージングは、ポストシーズンを勝ち抜くためのポイントですから、どのように修正するかがカギとなります。

  • 佐々木投手の修正力: 次の登板までに、ストレートの制球をどこまで取り戻せるかが鍵となります。彼の真の価値は、驚異的な修正力にもあります。
  • トライネン以外のクローザー候補: 追い込まれた場面で、トライネン投手以外の投手がどれだけ信頼できるか。ブルペンの層の厚さが試されることになります。

🗓️ 【最新情報】今後の予告先発

NLCS第2戦の先発は、ドジャースが山本由伸投手、ブルワーズがフレディ・ペラルタ投手と発表されています。ドジャースは、日本のエースに再び快投を期待し、シリーズ連勝を狙います。


まとめ:ジェットコースターのような勝利の行方

NLCS第1戦は、ブレイク・スネル投手の歴史的とも言える完璧な投球によって、ドジャースに流れが向いたかに見えました。しかし、ポストシーズンに潜む一瞬の気の緩み不運な珍プレー、そしてクローザーの乱調が、試合を最後まで予断を許さないスリル満点の展開へと引きずり込みました。

土壇場で勝利を手繰り寄せたドジャースですが、勝利の喜びの裏には、9回裏の冷や汗とブルペンの課題が残されました。

この勝利は、タレント集団ドジャースの「底力」を示しつつも、ブルワーズの粘り強さがシリーズを簡単には終わらせないことを示唆しています。 NLCSはまだ始まったばかり。次の試合で山本由伸投手がどんな投球を見せるのか、そして佐々木朗希投手が最高のパフォーマンスを取り戻せるのか。ドジャースの「日本勢」の活躍から、ますます目が離せません。